(4) 今後の課題

 『郡山市史 続編4』においても「この10年間は大きく制度が変革した時期」という記述があったが、それに続く10年間もまた特別支援教育の新たなうねりがあった。この動きは今後もまだ続くものと考える。その中で今必要なのは、コロナ禍で分断されたさまざまな絆を取り戻すことではないだろうか。この数年というもの、特別支援教育を担当する教員同士が膝を突き合わせて学び合う研修会や障がいのある児童生徒たちが共に集い交流し刺激し合う行事等が、中止や規模の縮小に追い込まれたり、オンラインに形を変えたりしてしまった。先輩たちが努力して積み重ねてきた特別支援教育の文化が、ほんのわずかな時間のうちに風化してしまう危機感があると考える。新たな世界に踏み出すためには、これまでの財産を学び継承する必要がある。そうした上で本市の特別支援教育が着実にインクルーシブ教育システムへ移行していくことが強く求められている。

(小林 徹)