(4) 放送大学

 放送大学は、放送大学学園法に基づき1983(昭和58)年に設置され、その英語表記「The Open University of Japan」にも表れているように、「いつでも、どこでも、誰でも」が自由に学べる<開かれた高等教育機関>であることを標榜している。入学試験はなく、BSテレビ・ラジオ、インターネットなどを通じて、日本全国に学習センターを設置し、学友と共に学べる面接授業も採用し、大学教育の機会を広く提供している。今日では、<多様で質の高い授業科目の開設>を進め、学士課程だけではなく、大学院修士課程(2002(平成14)年)に加え、博士課程も設置され(2014(平成26)年)、高等教育機関としてその高度化を進めた。2021(令和3)年度には、放送授業292科目、オンライン授業科目39科目、約3,000にも及ぶ多数の対面式による面接授業科目が開設されている。最近では、急速に進展するDX(デジタル化)社会にあって、放送大学の教育改革も大きく進展した。2021(令和3)年には、自宅等から受講し質疑応答や議論ができる同時双方向遠隔授業となる「ライブWeb授業」も開始されている。さらに、インターネットを通じて試験期間中に「いつでも、どこでも」受験することができる「Web単位認定試験」の導入も進められた。これらの背景の一つには、2020(令和2)年から、2021(令和3)年に採られたコロナ感染防止対策への対応も含まれるが、それに止まらず、DX社会を視野に入れた新しい教育システムの構築が促進・導入されている。

 2021(令和3)年度では、学部・大学院を合わせて約8.7万人の放送大学生が学んでいる。現在、放送大学の教養学部には、6コース(生活と福祉、心理と教育、社会と産業、人間と文化、情報(2013(平成25)年度新設)、自然と環境)が開設されており、大学院も同様である。

 福島県では、郡山女子大学が設置母体校となり、放送大学福島学習センターが開設され(1997(平成9)年)、2017(平成29)年には20周年の節目の年を迎えた。いわき市にもいわきサテライトスペースが設置されている(2004(平成16)年)。現時点での県内の学生動向を捉えてみる。学生数は、2012(平成24)年は総数1,297人であったが2021(令和3)年は833人となり464人(35.8%)の減少がみられる。年齢構成の状況は、10代2.3%、20代15.4%、30代16.0%、40代20.6%、50代17.8%、60代以上27.9%となっている。職種別では、公務員や看護士を中心とする減少が目立つが、それは教員免許更新講習の終了や看護師のキャリアアップ指向傾向が落ち着いたためと推測される。その他、これら学生動向の大きな要因としては、原発事故を伴う東日本大震災(2011(平成23)年)後の大規模避難や2020(令和2)年冬からの新型コロナ感染症拡大の影響がある。

 今日、放送大学福島学習センターは、多様な授業スタイルを積極的に活用しながら、多くの学生層に応えることを意図し、青年層のキャリア支援を含め、現役世代のキャリアアップのための学習や生涯学習など、多種多様な多くの学習を推進し、DX社会をリードする日本最大の遠隔大学となる放送大学の一翼を担っている。

(中田 スウラ)