(1) 生涯学習推進のための施策

 本市においては、2010(平成22)年3月、教育基本法第17条第2項に基づいて「郡山市教育振興基本計画」を策定し、2014(平成26)年度まで取り組んできたが、2015(平成27)年3月には、その取り組みの検証をもとに、「第2期郡山市教育振興基本計画」を策定して、2015(平成27)年度から2019(令和元)年度までの5年間、教育施策を推進してきた。さらに、2020(令和2)年3月には、2024(令和6)年度までを計画期間とする「第3期郡山市教育振興基本計画」が策定され、様々な教育課題の解決に努めてきた。

 これらの教育計画の中で生涯学習について見てみると、「郡山市教育振興基本計画」及び第2期計画においては、基本目標として「一人ひとりの学ぶ心を大切にする生涯学習の推進」、基本施策として「1 家庭教育の推進」「2 青少年の健全育成」「3 生涯学習の推進」が掲げられた。また、具体的な施策については、第1期の取り組み状況から課題を整理して、第2期で新たに設けられたものがあり、それは以下の二点である。

 一つは、基本施策2の「青少年の健全育成」において、時代の要請として、地域・学校・家庭などが連携して地域で子どもを育てる環境づくりが求められていることを反映して「子どもの良好な生育環境の確保」という施策が加えられたことである。もう一つは、基本施策3の「生涯学習の推進」において、住民参加(参画)型の公民館講座等の実施を通じて地域の活力向上を図ることや大学などの高等教育機関や研究機関との連携を視野に入れた「学びの場の活用」、「新たな生涯学習の推進」が設けられたことである。

 次に、第3期計画では、「社会情勢や自然環境の激しい変化を踏まえ、めまぐるしく変動し、かつ予測困難で不確実な未来を見据え、直面する様々な課題に戦略的に取り組む」として、大きな改訂がなされた。まず、基本目標は、これまで「学校教育」「生涯学習」「文化」「スポーツ」という分野ごとに四つの基本目標が設定されていたが、新たに五つの目標が設定され、学校教育に関する基本目標1~3に続いて、基本目標4と5が、これまでの「文化」「スポーツ」の分野も含めた生涯学習に関する基本目標として以下のように設定された。

 「基本目標4 家庭・地域・学校で取り組む子どもの育ちの支援」においては、家庭・地域・学校の連携のもと、家庭教育の充実と青少年活動の支援等が施策として挙げられている。これは2015(平成27)年12月の中央教育審議会答申「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について」において示された、「地域と学校が連携・協働し、地域全体で未来を担う子どもたちの成長を支えていく活動(地域学校協働活動)を通して、学校を核とした地域づくりを推進すること」を反映したものである。

 次に、「基本目標5 生涯を通して学び、地域づくりにいかす環境の整備」においては、文化芸術活動、生涯スポーツ・レクリエーションを含めた生涯学習推進のための環境整備と学習機会の提供等が盛り込まれている。これは2018(平成30)年12月の中央教育審議会答申「人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について」において、「社会教育を基盤とした、人づくり・つながりづくり・地域づくりを強化し、開かれ、つながる社会教育の実現」が示され、社会教育施設にこれまでの学習拠点だけでなく、地域コミュニティの維持・発展の推進や住民ニーズに対応できる情報拠点など様々な役割が求められていることを反映したものである。