東日本大震災により被災した中央公民館・勤労青少年ホームは、「補強による耐震が困難な状況であり、改築することが妥当」との判定を受けたことから、国の災害復旧事業を活用し、震災の復興を実感できるシンボル的な施設として再建することとなった。
災害復旧工事を進めるにあたり、広く市民の意見を反映するため、市内自治会連合会や文化団体連合会等から選出された10名の委員からなる「再建検討委員会」が設置され、2012(平成24)年6月から検討を重ね、同年10月10日付けで報告書が提出された。
また、学識経験者や各分野の有識者及び公募で選任された15名の委員で構成する「郡山市復興シンボル検討委員会」は、「まちづくりネットモニター」や「こおりやま若者・夢会議」へのアンケート等をもとに、6月からの検討結果を11月30日付けで提言としてまとめた。
それらを受けて、2013(平成25)年4月30日解体工事完了後、約2年を要して建設が進められ、2015(平成27)年4月6日、再オープンとなった。再建方針、施設の特徴、概要は以下のとおりである。
a 再建方針
・利用市民の代表からなる検討委員会を設置し、意見を反映する。
・震災からの復興が実感できる施設とする。
・周辺環境・歴史・文化となじむ施設とする。
・最先端の設備を備え、「見る」「感じる」ことができる施設とする。
・市民のための「安全」で「安心」な復興のシンボル的施設とする。
b 施設の特徴
・500人収容の音楽ホールにスタインウェイ・フルコンサートピアノ(D274)及び残響時間を1~3秒自在に可変することができる高性能音響装置を設置(YAMAHA AFC(Active Field Control)サウンドシステム)
・太陽、風、水、地熱、大気の自然要素と建築・設備を融合し最先端技術を用いたエネルギーのハイブリッド化
・ランドマークタワー及び展望台の設置
・幅広い世代の人々でにぎわい、市民の憩いの場として活用できるコラボスペース、託児室・授乳室・市民ギャラリーの設置
・災害時の避難所機能(非常用発電機、受水槽、備蓄倉庫、広い洗面トイレ)
・併設の文化財郡山市公会堂(1926(大正15)年築)の外観を踏襲しながら、徐々に最新の建築外観に移行する「グラディエーションデザイン」の採用
c 施設概要
・鉄筋コンクリート地下1階、地上3階、塔屋2階
・延床面積 4,971平方メートル
・講義室(10、うち1室パソコン室)、調理実習室(1)、工作室(1)、音楽室(1)、多目的ホール(500人収容、親子室)、授乳室・託児室(110平方メートル)、和室(3室:65畳、40畳、40畳)
・太陽光発電、太陽熱給湯、地中熱床暖房、風力発電外灯、雨水貯留槽によるトイレ排水、壁面緑化の採用
・全館Wi-Fi
・デジタルサイネージによるエネルギー等の見える化