美術館は1992(平成4)年11月の開館以来25年にわたり、展示や収蔵されている美術品の保存管理のため、夜間や休館日も含め空調設備を稼働し続けてきた。そのため、空調設備の老朽化は限界を超え、部品やシステムの製造中止なども相まって、開館以来初の大幅な改修工事を行うこととなった。2017(平成29)年10月1日から翌年7月6日までの、ほぼ9ヵ月の長期休館を設けての大規模な工事である。
空調設備工事と並行して館内監視システムなどの更新、震災で照明器具が落下した企画展示室天井改造、さらに展示照明のLED化などを行った。LED照明は省エネ性ばかりが注目されるが、これまでの白熱灯や蛍光灯と比べ、作品の色や形の再現性に顕著な差があり、優れた展示効果による鑑賞の場を提供できることになった。
そして、これらの工事終了後、展示室内の空気環境正常化完了を経て、2018(平成30)年7月7日、再オープンを迎えた。その再開企画展第1弾がウィリアム・ターナー(1775~1851年)の個展「ターナー 風景の詩(うた)」である。郡山市立美術館は、北九州、京都、東京そして郡山と国内4都市を巡回するこの企画展の国内監修を任された。それはイギリス美術の収蔵美術館としてのこれまでの実績が評価されてのことである。
なお、工事や、長期休館の間に展示室を使用しないで行った様々な事業の詳細は、郡山市立美術館発行『郡山市立美術館改修工事及び休館中の活動報告 平成29-30年度』(https://www.city.koriyama.lg.jp/uploaded/attachment/30521.pdf)を参照されたい。