(1) 郡山市内における一般の音楽活動

 この10年を顧みると、郡山市内の一般の音楽活動は2008(平成20)年3月の音楽都市宣言以降、顕著に活発な動きをみせている。市民グループの多角化や活動回数の状況が増加していることは、練習会場の不足を訴える団体の声にも現われている。そのような中で、2018(平成30)年には「みんなで歌う第九の会」が設立された。合唱団「はもる会」の指導者今泉一八(いまいずみかずや)が合唱の指導をつとめ、合唱愛好者を集め、高校の合唱団にも参加を呼びかけ、市民オーケストラとの合同演奏を開始し、毎年の公演体制を築き上げていった。そのような状況の中で、プロの交響楽団設立の動きが話題となり、郡山交響楽団という名称で設立宣言がなされた。プロの交響楽団は全国に36団体存在する。東北には仙台と山形が活動を続けているが、音楽都市を宣言した郡山市に誕生したことは、大きな意義があることであろう。しかも、この交響楽団は、公共の組織のバックアップを受けていない民間の自主的な設立であるということも、郡山の活動の特色でもあろう。

 既存のオーケストラ活動の中では、注目しておきたい存在が二つある。一つは歴史の長さでも活動の多さでも知名度のある郡山市民オーケストラである。2021(令和3)年には設立50年目を迎え、充実した活動を続けているアマチュアオーケストラであり、近年の定期演奏会では、マーラーの交響曲第9番や、第2番「復活」交響曲を取り上げたほか、「みんなで歌う第九の会」のオーケストラをつとめるなど、アマチュアの域を超えるレベルの活動を行っており、郡山の音楽史を語る上で欠かせない存在である。

 もう一つは、郡山ジュニアフィルハーモニーオーケストラの活動も注目すべき歴史を重ねる存在であり、プロの演奏者にまで築き上げられた出身者を輩出している。トランペット&フリューゲルホルンの奏者、佐藤秀徳(さとうしゅうとく)をはじめ数名がプロ演奏者として活躍をしている。郡山ジュニアフィルハーモニーオーケストラは1977(昭和52)年、中学校で管弦楽に携わっていた生徒と先生たちにより設立され、子どもたちだけのオーケストラとしての活動を以来今日まで継続してきた。顕著な活動として、毎年1回開催されて来た定期演奏会、2001(平成13)年のオーストラリアへの海外演奏旅行におけるシドニーオペラハウスでの、日豪文化交流「ジャパンフェスティバル」への参加、2014(平成26)年の長野県安曇野市合田中学校での演奏交流会への参加、郡山市音楽連盟主催「器楽の祭典」への参加など多くの活動を続けている。