a 鳥類
鳥類に関する統計調査としては環境省による「全国鳥類繁殖分布調査」がある。本冊の対象時期としては、2016(平成28)年~2021(令和3)年に実施された第7回調査が該当する。ただし、以前のデータは電子化されておらず、種類ごとに全国の分布状況がまとめられているため、郡山市など、地域単位でそこに分布する鳥類を把握することは困難である。そこで、ここでは第7回調査において郡山地域(郡山市市街地を中心とする一辺20kmのメッシュ内)で確認された鳥類を列挙するにとどめる。
第7回調査において郡山地域で確認された鳥類は、以下の57種である。キジ、カルガモ、カイツブリ、キジバト、カワウ、ヨシゴイ、ゴイサギ、ササゴイ、アオサギ、ダイサギ、バレ、ホトトギス、カッコウ、コチドリ、イソキジ、トビ、オオタカ、サシバ、ノスリ、カワセミ、コゲラ、アカゲラ、チゴハヤブサ、サンコウチョウ、モズ、カケス、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ヤマガラ、ヒガラ、シジュウカラ、ヒバリ、ツバメ、イワツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、ヤブサメ、エナガ、メジロ、オオヨシモリ、キバシリ、ムクドリ、コムクドリ、コルリ、キビタキ、スズメ、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、カワラヒワ、オオジロ、アオジ、コジュウケイ、カワラバト、ガビチョウ。
今後、電子データの整備にともなって地域を単位とする分析が拡大していくことを期待したい。
b 魚類 その他
魚類などに関する調査としては、国土交通省による「河川水辺の国勢調査」がある。本稿執筆時の最新版の報告書である2020(令和2)年版調査報告書に基づき、検討することにしたい。なお本調査は水棲生物を中心的な調査の対象とする性質上、水系単位で調査が行われている。以下では、阿武隈川水系に棲息する生物を列記する。
魚類としてはブルーギル、オオクチバス、チャネルキャットフィッシュ、カジカ、タイリクバラタナゴ、ゲンゴロウブナ、ビワヒガイの棲息が確認されている。ブルーギルなどは特定外来生物であり、タイリクバラタナゴはペット由来の生物である。外来の生物が生態系を乱しつつあることがわかる。なお、カジカは本来阿武隈川に存在するものではなかったが、地球温暖化の影響で存在するようになったと考えられている。
底生動物では、アメリカナミウズムシ、アメリカツノウズムシ、フロリダマミズヨコエビ、コモチカワツボ、アメリカザリガニが確認されている。これらはいずれも外来生物である。
両生類・は虫類・哺乳類では、カヤネズミ、カジカガエル、ウシガエルなどの在来の生物が存在する一方で、ミシシッピアカガメのような外来種も確認されている。また、単年度だけであるが、ミンクも確認されている。外来種の影響が拡大しつつある。
陸上昆虫類等では、オオムラサキ、ゴマダラチョウ、コムラサキなどの在来種が確認された一方、外来種であるアオマツムシ、アワダチソウグンバイ、シバツトサガ、アメリカミズアブ、ブタクサハムシ、イネミズゾウムシのような外来種も確認されている。気候変動によって認められるようになったものとしてツメグロヒョウモン、コオナガミズスマシなどがある。一方でオニヤンマやオオミズスマシが認められなくなっている。
このように見ると、魚類や昆虫類などでも外国から入ってきた新しい種が拡大を続けていることがわかる。また、地球温暖化の影響などによって地域に存在している種に変化が現れ始めている。その一方で在来種の衰退も現れている。このような動向は注視していかなければならない。