越谷地方のシラコバト

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静かな田園風景をただよわせていたころの越谷地方には、モズ、オナガドリ、カラス、スズメ、シラコバトなど多種多数の小鳥たちが群舞していた。その後、乱獲や都市化の影響による環境の悪化につれ、小鳥たちの姿はめっきりすくなくなってしまった。シラコバトもその例にもれず、心ない人たちの乱獲により、昭和三十年ごろにはわずか五五羽を算するのみとなった。一時は絶滅を心配されたが、市民の保護と埼玉猟場管内の禁猟区があったことから、ふたたび漸増に向かい、昭和四十一年の調査では約八〇〇羽が、越谷市を中心に春日部市、庄和町、吉川町にかけて分布している。

 シラコバトは、中国内陸部からバルカン半島南部を原産地とする、いわゆる帰化動物である。体形はキジバトよりひとまわり小さく、全体が淡褐色で、首のうしろに黒い輪があり、翼長は一六~一八センチメートルくらいである。農家の生垣・防風林をねぐらや営巣地とし、付近の耕地を餌をあさる場としている。なおこの鳥は、昭和三十一年に国の天然記念物指定を受け、同じく四十年に埼玉県民の鳥に指定されている。