越谷地方は見渡すかぎりの平坦地であり、これを沖積低地と呼んでいる。そしてこの沖積層の下には洪積層が埋没している。このような土地はいつ頃、どのようにしてできていったのであろうか。そして越谷地方の地質はどうなっているだろうか。
越谷地方でのもっとも深いボーリング資料としては、春日部市豊春の層序試錐における三〇七二メートルと、草加市のガス井の一八〇〇メートルがある。その結果は第3表のようである。
春日部 深さ(m) |
比較される他地域の地層 | 草加深さ(m) | 地質時代 | 年数 | |
---|---|---|---|---|---|
0~3 | 表土 | 0~5 | |||
0~27 | 有楽町層 | (東京) | 5~60 | 沖積世 | |
27~422 | 成田層群 | (千葉) | 60~630 | 洪積世中後期 | -1万年前 |
422~1041 | 上総層群 | 630~1700 | 鮮新世~洪積世前期 | -100万年前 | |
1041~1675 | 都幾川層群 | (比企) | 中新世後期 | -1300万年前 | |
1675~2554 | 福田層 | 1700~1800 | 中新世中期 | ||
1554~3063 | 荒川層 | 中新世前期 | |||
3063~3072 | 断層による破砕帯 | -2500万年前 | |||
2072~3103 | 南蛇井層か跡倉層 | 古白亜紀 | 6300万年前 |
この資料にもとずくと、たとえば一三〇〇万年前まだ沖積層、洪積層が堆積されなかった第三紀中新世(三九頁第6表地質年代参照)の頃、すなわち都幾川層、福田層、荒川層の時代は、その地層が比企丘陵の第三紀層に対比されることから、関東地方には北東から海がはいりこんでいたことになる。