石器

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第41図の34の石器は長楕円形の礫を半分に剥がし弓形にうちかきを加えて刃部を形づくっている。手に持つと石庖丁のようにもとれるが用途は不明である。第41図の35の紡錘車は9ロGから出土している。紡錘車は糸をつむぐとき回転によって糸に縒(より)をかけるため糸巻棒にさしてその回転をたすける道具である。弥生時代には土製品が多く、古墳時代になると石製品が多くなる。古墳前期には碧玉製、中期には滑石製で、上面を低い截頭円錐形に作ったものがあらわれ、後期にはそれに鋸歯文などの線刻を加えたものが用いられた。

 本遺跡の紡錘車は、灰緑色をした円錐台で径四四ミリメートル、厚さ一三ミリメートル、中央の孔径七・五ミリメートル、単独で出土している。この出土地点から約六メートル離れた二号住居址内には先の尖った短かい棒が発見されているが、この棒が機織用かは不明である。

第41図 土錘,漁網用おもり,祭具及び石器