木製品

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低湿地に位置する本遺跡では台地などに比較して木製品の残存条件がよく、多数埋没しているものと考えられていた。発掘の結果は以外に少なく第42・43図の木製品二個のみである。このことは何を意味しているのであろうか。たとえば当集落の破壊の原因を洪水とした場合、数多くの木製品はこの洪水によって流出したものとみることができよう。

 第42図の木製品は、地表より三〇センチメートル灰青色粘土層より出土したもので、円形に近い径は約一五センチメートル、中央部の厚さ一・二七センチメートルで磨耗がはげしく原形はつかめなかった。盆というより浅い鉢といった方がよいかもしれない。

第42図 木製品

 第43図の板は二号住居址内南壁よりの床面に接し水平の状態で発見されたものである。長さ九〇センチメートル、幅二〇センチメートル、厚さ三センチメートルで中央部表面および一端は焼けて欠損しているが他の端は鋭い刃物で切断されていた。用途は不明であるが表面は平らに削られ、裏面はやや凹凸があって焼けた跡がない。

第43図 木製品