用材と樹種

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本遺跡から建築用に使用されたものといえる各種用材が発見されている。一号住居址内の丸太や二号住居址床面を覆っていた小木やカヤなどである。これらは長い間の高湿度、覆土による酸素の補給および光の遮断によって好気性細菌類の繁殖ができず今日まで地下に残存していたものである。しかしひとたび外気に触れるとその老化は驚くべき速さで進行しボロボロに崩れる。これら用材の樹種を顕微鏡写真によって標本比較した結果は次のようである。

 一号住居址用材 ヒノキ科、ヒノキ属またはサワラ

 二号住居址木片 ブナ科、コナラまたはカシワ

 9イG木片 ヤナギ科、カナギ属またはドロノキ属

 これらから、当時の原野にはヤナギ、ヒノキ、サワラ、ナラ、カシワなどが繁茂し、住居用材や生活用具に使用されていたものとみることができよう。