新仏教の流入と伝播

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鎌倉時代に創造され武士や庶民の間に広く普及された仏教を、一般的に鎌倉仏教とか新仏教と呼んでいる。この新仏教を大別すると、浄土教系諸宗・禅宗・日蓮宗に分けることができる。浄土教系諸宗には、法然の浄土宗、親鸞の浄土真宗、一遍の時宗、良忍の融通念仏宗などがある。禅宗には栄西の臨済宗、道元の曹洞宗があり、日蓮宗には日昭の浜門流、日朗の比企谷門流、日向の身延門流、日常の中山門流、日像の四条門流などの分立がある。

 これらの新仏教を旧仏教に比較してみると、形式的な教義より信仰心そのものを問題として、一般庶民に理解しやすいような教義を樹立した。たとえば浄土宗の開祖となった法然は、「凡夫が口に称える南無阿弥陀仏のみにて必ず西方阿弥陀の浄土に往生する」と宣言して開宗したもので、従来の宗派が必要条件とした戒・定・慧の三学を超えて、念仏称名だけで極楽往生できると説いたのが特徴である。