相対賃銭

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御定賃銭で人馬を使用できない一般庶民や商人荷物、さらに御定賃銭の使用人馬数を超過したものや、御朱印や御証文で無賃の人馬の使用をみとめられたものでも、その数を超過した分は相対賃銭で人馬を使用しなければならなかった。〝相対賃銭〟とは、旅行者らが個別に馬士や人足と話し合ってきめた賃銭である。もっとも、無賃人馬や御定賃銭人馬の使用者は、その超過分を問屋場に依頼して相対賃銭による人馬を調達したが、原則的には相対賃銭による人馬調達の義務は問屋場にはなかった。したがって一般庶民の旅行は、問屋場では一切これに関係せず、宿場や往還ばたにいる駕籠かきや馬士に旅びとが直接交渉して人馬を調達した。この賃銭はまったくの相対であり、普通、御定賃銭の二倍ぐらいが相場であったようである。