越谷地域で古くから歌われてきた民謡やわらべ唄は、数多くあったとみられるが、現在調査が進んでいないので判明しているものは少ない。しかも判明されているものは地域独自の民謡やわらべ唄ではなく、江戸ならびに武蔵東部一帯でひろく歌われていたものである。いずれにせよ、唄は喜びにつれ悲しみにつれ、民衆の娯楽の一つとして、広く人びとによって歌いつがれてきたものにちがいない。以下参考までにその二、三を掲げる。
あーずき げーげー にえたかどうだか
くってんべー にえねーよ にえねーよ
あーずき げーげー にえたかどうだか
くってんべー にえーたよ にえたよ
くーってべ、くってんべ
くーんねーか くんねーか やーだよ
やだよ へーびのぬけたの おつけんど
だいじゃのばけたの おつけんど そんなーもーなー おかなかねー
民謡
○田植歌
(一) おまえみるかや わしゃめがわるい
やまでつきめか はやりめか
(二) ばんげ(今晩)いくから ぞうりでおいで
げたじゃあ おとがする
(三) どうせくるなら うらからおいで
おもてからくると おとがする
(四) おまえよいかと よくきけば
よいかわるいか わしゃわからない
(五) ほれてかよえば せんりもいちり
ただでかよえば またせんり
○田植歌
(一) ヤーレ十七八はナーナヨホイ
はじめて田をヨ 田を植えたヨ
(ア植えてしゃれ植えてしゃれ)
(二) ヤーレしかもナーナヨホイ
しかもこの田はヨ よくできたヨ
(ソリャつぶれちゃあぶない ついちゃおもたいト)
(三) ヤーレたてがナーナヨホイ
たてが一丈でヨ よこが五尺ヨ
(ア七畝に八畝じゃ 一反五畝だト) (以下略)
○とのさ
(一) わしらさイ、とのささんぼた餅が好きで
ゆうべ二十一けさまた七つ
食べた残りをたもとに入れて
馬に乗るとてポタリとおとし
拾うにや拾えず捨てるや惜しし
羽が生えたら飛んできなお萩ヤーレ
(二) わしらさイ、とのささんは飼い鳥が好きで
一にまめどり二ににわとりヨ
三にさんこうどり四に四十雀
五ついつものうぐいすどりヨ
六つむくどり 七つ南天の葉に止るがひよどりヨ
八つやまがら 九つこうのとり
十でとのささんは飼い鳥が好きだヤーレ
○わらべ唄
トウカンヤ
トウカンヤの藁鉄砲
トウカンヤの藁鉄砲 大根がうえぬけた
○手まり歌
しばうらの名主どんには
お江戸からお嫁をよんできた
そのお嫁は糸はたできぬで
お江戸へおかごで返された
返されてめんぼくないとて
浅草河原へ身を投げた
身は沈み髪毛は浮ぶ
こそでのこじまは流れる
やれ長吉 とめるな長吉
我らにかまうと日が暮れる
日は暮れる お月はあがる
夜あけのからすはガオガオと
まずまず一貫かしました
○手まり歌
つくばの山から白猫が
あしだをはいて木登りで
あしだじやあぶないじょじょがよい
じょうじょのはなおが切れたなら
おっかさの前に手をついて
ながながお世話になりました
まずまず一貫かしました