民謡とわらべ唄

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越谷地域で古くから歌われてきた民謡やわらべ唄は、数多くあったとみられるが、現在調査が進んでいないので判明しているものは少ない。しかも判明されているものは地域独自の民謡やわらべ唄ではなく、江戸ならびに武蔵東部一帯でひろく歌われていたものである。いずれにせよ、唄は喜びにつれ悲しみにつれ、民衆の娯楽の一つとして、広く人びとによって歌いつがれてきたものにちがいない。以下参考までにその二、三を掲げる。

1969.7.31 埼玉県越谷市大松にて採録した曲を採譜化(陽旋律)<br>1969.11.2 H. Ozawa

あーずき げーげー にえたかどうだか

くってんべー にえねーよ にえねーよ

あーずき げーげー にえたかどうだか

くってんべー にえーたよ にえたよ

くーってべ、くってんべ

くーんねーか くんねーか やーだよ

やだよ へーびのぬけたの おつけんど

だいじゃのばけたの おつけんど そんなーもーなー おかなかねー

 民謡

○田植歌

 (一) おまえみるかや わしゃめがわるい

     やまでつきめか はやりめか

 (二) ばんげ(今晩)いくから ぞうりでおいで

     げたじゃあ おとがする

 (三) どうせくるなら うらからおいで

     おもてからくると おとがする

 

 (四) おまえよいかと よくきけば

     よいかわるいか わしゃわからない

 (五) ほれてかよえば せんりもいちり

     ただでかよえば またせんり

○田植歌

 (一) ヤーレ十七八はナーナヨホイ

      はじめて田をヨ 田を植えたヨ

     (ア植えてしゃれ植えてしゃれ)

 (二) ヤーレしかもナーナヨホイ

      しかもこの田はヨ よくできたヨ

     (ソリャつぶれちゃあぶない ついちゃおもたいト)

 (三) ヤーレたてがナーナヨホイ

      たてが一丈でヨ よこが五尺ヨ

     (ア七畝に八畝じゃ 一反五畝だト) (以下略)

○とのさ

 (一) わしらさイ、とのささんぼた餅が好きで

      ゆうべ二十一けさまた七つ

     食べた残りをたもとに入れて

      馬に乗るとてポタリとおとし

     拾うにや拾えず捨てるや惜しし

       羽が生えたら飛んできなお萩ヤーレ

 (二) わしらさイ、とのささんは飼い鳥が好きで

      一にまめどり二ににわとりヨ

     三にさんこうどり四に四十雀

      五ついつものうぐいすどりヨ

     六つむくどり 七つ南天の葉に止るがひよどりヨ

      八つやまがら 九つこうのとり

     十でとのささんは飼い鳥が好きだヤーレ

○わらべ唄

  トウカンヤ

   トウカンヤの藁鉄砲

    トウカンヤの藁鉄砲 大根がうえぬけた

○手まり歌

   しばうらの名主どんには

    お江戸からお嫁をよんできた

   そのお嫁は糸はたできぬで

    お江戸へおかごで返された

   返されてめんぼくないとて

    浅草河原へ身を投げた

   身は沈み髪毛は浮ぶ

    こそでのこじまは流れる

   やれ長吉 とめるな長吉

    我らにかまうと日が暮れる

   日は暮れる お月はあがる

    夜あけのからすはガオガオと

   まずまず一貫かしました

○手まり歌

   つくばの山から白猫が

    あしだをはいて木登りで

   あしだじやあぶないじょじょがよい

    じょうじょのはなおが切れたなら

   おっかさの前に手をついて

    ながながお世話になりました

   まずまず一貫かしました