村位等級

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このような一筆ごとの反当収量を村毎に総計し、反別で割ったものがその村の平均反当収穫量である。村毎の平均反当収量で各村の収穫上の差異をみたものが村位等級である。市域村々でこの村位表が決められたか否かわからないが、決定された各村の平均反収がわかるので比較してみると、第11表のようになる。

第11表 第2区模範越ヶ谷宿組合村々収穫平均表
田(米) 畑(麦) 宅地(反価)
越ヶ谷宿 1.49 1.491 34.558
瓦曾根村 1.49 1.442 33.795
蒲生村 1.5 1.442 33.098
登戸村 1.429 1.358 31.35
西方村 1.501 1.443 33.115
四丁野村 1.48 1.484 34.056
大間野村 1.29 1.359 31.408
七左衛門村 1.29 1.37 31.443
大沢町 1.39 1.452 34.027
越巻村 1.37 1.391 31.913
大房村 1.389 1.419 32.972
花田村 1.139 1.493 34.248
中島村 1.177 1.446 33.185
増森村 1.41 1.534 34.757
増林村 1.54 1.536 35.241
荻島村 1.47 1.467 33.573
神明下村 1.581 1.459 33.481
弥十郎村 1.16 1.238 28.395
谷中村 1.39 1.407 32.297
下間久里村 1.41 1.483 32.663
上間久里村 1.41 1.443 33.115
長島村 1.311 1.381 21.687
大里村 1.41 1.423 32.645
大林村 1.39 1.107 25.398
袋山村 1.029 1.136 26.078
西新井村 1.471 1.418 33.484
後谷村 1.341 1.374 31.53
小林村 1.257 1.482 34.004

明治11年「田畑等級収穫帳」

 区内二八ヵ村のうち、水田の村位つまり平均反収のもっとも高いのは神明下(しんめいした)村であり、ついで増林、西方村の順となる。畑地は増林がもっとも高く、ついで増森、花田村の順となる。宅地の反当価格は増林を筆頭に増森、越ヶ谷宿の順である。逆に反当収量の低い村は、水田は袋山・弥十郎、畑地は大林・袋山、宅地も大林・袋山・弥十郎である。これをみると二区内の村々は、同じ東部の低湿地帯の村々でありながら、生産力の上で多少の差があることが判明する。生産力の高い村々は、水田でいえば増林と越ヶ谷宿周辺の神明下、四丁野、瓦曾根、西方、蒲生および西新井、荻島など、古くから開発されていたと思われる村々である。しかも、村の規模の大きな村々である。新開の出羽地区、袋山地区が総じて生産力が低くなっている。この傾向は畑、宅地の場合も同様であった。

 このような村落間の生産力の差は、収益地価の方式を採用する地租改正によって、どのような新地租が決定されたかは重要なところである。とくに、江戸時代から継続した旧租=年貢と比較して、どのような変化があらわれるかは村びとの最大の関心事であったと思われる。

明治5年の年貢皆済目録