各町村では町村会議員がえらばれ町村長を選出すると、町村長が議長となって町村会が開かれた。町村事務に必要な諸条例を審議するためである。
当時、各町村会で成案され討議された条例をみると第88表のようになる。その後の変化を蒲生村にみれば、
明治二十二年十二月「村有給吏員退隠料給与条例」
明治二十七年七月 「蒲生村区長条例」
明治三十一年十二月「有給助役条例」
明治三十四年五月 「有給村長条例」
明治三十六年三月 「蒲生村手数料条例」
となっている。三十六年ごろより各村で基本財産蓄積条例なども公布されている。これら諸条例のうち、最初の条例審議の状況を出羽村にみれば、二十二年七月の村会で次のごとく決められている。第一号条例は常設委員および退隠料条例である。常設委員設置の理由は、「本村ガ素ト数村ノ合併セシモノナレバ其区域ヲ存シ」(明治二十二年「出羽村新組織条例及規定書」)おくために、その区域にかかる事務を担当する点にある。たとえば大間野、七左衛門、四丁野など旧村の事務を村長の命をうけて担当したのがのちの区長にあたる常設委員である。その事務の内容は、
一、農業・商工業に関する報告
一、村会決議による土木工事の執行
一、学令児童の就学不就学を調査し、就学を督促すること
一、出産・死亡・流産の調査、報告
一、伝染病予防、清潔法の監督
などである。村が行政村として大規模化したために、生活単位であった旧村との行政上のパイプ役を必要としたのである。この常設委員は村会で公民のなかから七人が選出され、任期は六年とされた。桜井村では二十七年四月に常設委員を廃し区長制となったが、蒲生村でも同年七月に改称している。出羽村では二十九年に区会が開設されたが、大正元年まで常設委員名が用いられている。退隠料は村役場の有給吏員が退職した場合に支給するもので、在職期間に応じ、一〇年以上は俸給の五分の一、十五年以上は四分の一となっているが、県から示された案をそのまま承認している。出羽村条例第二号は特別村税および使用料・手数料に関するものである。特別税は通常の村税ではまにあわない必要な事業を起す場合に課すもので、一反歩当り一〇銭以内で賦課することを申し合わせている。使用料は村共有建物についてであり、手数料は各種証明書の発行についてである。出羽村条例第三号は村税徴収期限および罰則に関するものであった。第88表のように各村とも大同小異の申し合わせを行なっている。
大相模村 | 荻島村 | 大袋村 | |
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第1号条例 | 有給吏員退隠料条例 | 常設委員条例 | 常設委員 |
第2号条例 | 特別村税及手数料条例 | 有給吏員退隠料条例 | 退隠料 |
第3号条例 | 村税負担及徴収方法条例 | 特別村税及手数料条例 | 特別村税 |
第4号条例 | 村税免除条例 | 手数料 | |
第5号条例 | 村税負担及徴収条例 | 督促手数料 | |
第6号条例 | 村収入徴収督促条例 | 村税負担及徴収期限及免除 | |
第7号条例 | 罰則 |
各村(村会書類綴)