自転車購買会

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明治三十年代には農村にも自転車や嗜好飲料物がはいりこみ、生活上の慣習に変化があらわれてくる。越ヶ谷町や大沢町などの町場ではそれらは少し早くからみられたであろうが、この年代になると農村部にも生活様式の変化が多少でもみられるようになった。たとえば桜井村では明治三十一年にはブドウ酒、プラム、紫蘇酒などが、また明治三十五年に自転車が用いられるようになっている。(第四章四節参照)

 自転車に関していえば、明治四十二年の新聞につぎのような報道がある(埼玉新報明治四十二年十月二十日付)。

   自転車購買会

 越ヶ谷町前田自転車店にては購入者の便を謀り、購買会を組織し、月賦掛金の方法に依り供給する事とし、去る十五日、共第一回を開きしに五十名の出席ありて、北葛飾郡松伏領村の斎藤某当籤し、中々の盛会なりし由

昔の自転車

越ヶ谷町前田自転車店の販売方法と人びとの自転車への期待を報じたものである。当時は自転車大会や競走会が開かれ、地方にも自転車熱が高まっていたが、三十年代後半より前田自転車店の宣伝などもあって、越谷農村にも自転車が徐々に普及していたのであった。