知事の裁決

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訴願に対する知事の裁決は九月二十八日に発せられた。この主文によれば「南埼玉郡長ガ越ヶ谷町ニ対シテ為シタル不均一税率ニ依ル大正三年度町税賦課ニ関スル処分ハ、取消スベキ限ニアラズ」(越谷市史(五)七九一頁)として越ヶ谷町の訴願はしりぞけられた。

 その理由は、町村税は均一の税率をもって徴収するのが町村制に規定された原則である。南埼玉郡長が大正元・二年度に不均一課税を認めたのは、明治四十三年の大水害の影響で民間の経済状態が悪く、その「変態ニ処スルタメ、主トシテ細民ノ負担ヲ軽減スルノ必要」(同前)から許可したまでで、水害の影響の去った大正三年度は町村制の原則に復すのは当然である。県税雑種税・不動産取得税および電柱税に対する付加税にしても、越ヶ谷町の主張は明確ではなく不均一賦課の理由にならない。したがって郡長が許可を与えないのは不当ではない、というものであった。