生活改善規約の設定

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第一次世界大戦によってもたらされた空前の好況も、大正九年三月、株式や商品市況の暴落により終止符を打ち、以後わが国経済界は不況に見舞われることになった。そこで内務省では民力涵養運動をさらに強化するとともに、同十一年九月十三日に、「消費節約ニ関スル件」を地方長官に通牒し、大々的な消費節約と勤倹貯蓄運動を展開することを通達した。埼玉県では同年九月、県告諭第一号と県訓令第三八号で、「生活改善申合規約準則案」を制定したが、各町村に対しこの準則案に基づいた申合規約を作製して、消費節約と勤倹貯蓄を励行するよう呼びかけた。

 この時作製された大袋村生活改善規約では、申合規約の目的を、「協同シテ時弊ヲ匡救シ去華就実ノ美風ヲ涵養スル」にありとし、その目的達成のため旧暦および年中行事を太陽暦に統一すること、時間を励行すること、その他結婚・葬儀・出産・宮参り・帯解き・節句・入退学等の慶祝、贈答・年賀・回礼・時候見舞、公衆社交の改善を掲げている。その後昭和期に入ると、さらに各町村では生活改善をより実践するため、大袋村では生活改善連盟、荻島村では生活改善実行組合を組織して、この運動を強化している。