保安組合の発足

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大正九年三月、越ヶ谷警察分署では、各町村ごとに治安を目的とした保安組合を設置させた。この組合規約を例えば増林村保安組合によってみると、自衛的精神に基づき、警察官と協力し、村内の安寧を保持、犯罪を未然に防止することを目的としており、組合長は村長、部長は消防部長がこれに任ぜられることになっていた。この犯罪予防に関しては、

(1)殺人・強盗・窃盗・博奕の犯罪を認知したときは、速やかに警察官吏に申告すること。

(2)自転車には鍵をかけ、戸外に放置しないこと。

(3)停車場や劇場など雑踏する場所では掏摸(すり)に注意すること。

(4)戸締りを厳重にし、夜間電報配達あるいは警察官と称しても、みだりに門戸を開けず、訪問者の何びとなるかを確認すること。

(5)廃兵などと称し、脅迫あるいは押売りする者があったときは、即座に警察官吏に届け出ること。

(6)銀行や会社などの外交員と称し、預金や債券の購買を勧誘する者に注意すること。

(7)青年男女の夜遊びを厳重に取締り、万一姙娠したときは、心得違いのないように十分説諭すること。

などとなっていた。この保安組合の効果やその活動状況は不明であるが、昭和十四年九月、各警察署管内を単位とする防犯協会が成立すると、これに統合された。