信用購買販売組合の購買事業は、農村等における肥料等の生産用品と醤油等の生活用品との共同購入による農工間の生産物価格の劣位をすこしでも補うことを目的とした。また販売事業は、農村における農産物・工産物等が個別に庭先等で買いたたかれぬようにして商品価値を高め、販売価格を高め利益を増そうとすることが目的である。東小林(増林)の同組員の購買事業の大正二年度と同八年度の内容を示したものが第29表である。大正二年度における生産用品の購入はすべて肥料である。一方、生活用品は醤油・食塩などの食品と繊維絣などの衣料品が主であるが、生産用品の購入と販売高が生活用品の三倍ほどに達している。しかし大正元~三、八年をのぞくと購買のすべてが醤油と食塩の生活用品のみとなってくる。肥料購入等の事業は大正四年頃からあまり活発におこなわれなくなり、消費用品が主体となる。その傾向は大正八年度の購買事業を示した第30表にあらわれている。生活用品は生産用品の二倍前後取扱われている。大正二年度と比較すると購買事業の内容が逆転するのである。購買事業は消費用品を指向しその金額もふえるが、生産用品を含めた全金額は減少するといってよいだろう。販売事業はほとんどおこなわれず、例外的に大正六年度に草履、大正八年度に米穀が取扱われたのみである。販売事業の機能はほとんど発揮しえなかったといっても過言ではない。
受入高 | 販売高 | ||||
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数量 | 価額 | 数量 | 価額 | ||
円 | 円 | ||||
生産用品 | 人糞 | 297荷 | 31.900 | ||
油粕 | 30枚 | 35.100 | 30枚 | 35.400 | |
大豆粕 | 697枚 | 1,077.835 | 697枚 | 1,081.940 | |
鰊粕 | 22俵 | 301.369 | 22俵 | 304.459 | |
過燐酸 | 13叺 | 14.560 | 13叺 | 14.950 | |
出売 | 2叺 | 9.041 | 2叺 | 9.326 | |
南部粕 | 1俵 | 7.100 | 1俵 | 7.200 | |
小計 | 1,476.905 | 1,453.275 | |||
生活用品 | 醤油 | 64樽 | 156.168 | 56樽 | 144.640 |
食塩 | 120俵 | 158.400 | 120俵 | 160.800 | |
蓑 | 34枚 | 8.455 | 34枚 | 9.360 | |
繊維 | 53反 | 71.560 | 53反 | 74.260 | |
絣 | 34反 | 55.740 | 34反 | 58.160 | |
小計 | 450.323 | 447.220 | |||
合計 | 1,928.228 | 1,900.495 |
受入高 | 販売高 | 備考 | ||||
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数量 | 価額 | 数量 | 価額 | |||
円 | 円 | |||||
生産用品 | 大豆粕 | 100枚 | 299.000 | 100枚 | 304.000 | |
過燐酸 | 25叺 | 58.750 | 25叺 | 59.500 | ||
小計 | 357.750 | 363.500 | ||||
生活用品 | 醤油 | 42樽 | 238.280 | 58樽 | 335.560 | 16樽は前年残品 |
鮭 | 40貫 | 88.000 | 40貫 | 91.165 | ||
傘 | 20本 | 30.600 | 20本 | 31.600 | ||
繊維 | 57反 | 285.000 | 57反 | 301.400 | ||
小計 | 641.880 | 759.725 | ||||
合計 | 999.630 | 1,123.225 |