昭和十四年九月、自主的な保安組合にかわり、各警察署管内を単位とした防犯協会が新たに国策団体として組織された。
越ヶ谷地域では、越ヶ谷警察署管内の世帯主によって構成された越ヶ谷防犯協会が組織され、各町村に支部が設けられた。この会長には警察署長が任ぜられ、各支部長には管内町村長があてられたが、このときの規約によると、犯罪の防止や摘発とともに戦時色の濃い条項が加えられている。たとえば犯罪防止の目的達成のため、(1)出征将兵遺家族の保護、(2)防諜及び各種不穏行動の探究、ならびにその防止処置などが挙げられており、労働争議・小作争議、その他の紛議を見聞したとき、さらに反軍的策動者、間諜的行動者、その他不穏行動者や風紀を紊乱すると認められる者を見聞したときは、直ちに警察官吏にこれを申告し、相互に連絡を密にして適切な措置を講ずる、などとなっていた。
そしてなによりも防犯協会の任務は防空に重点が置かれ、警防団長や同副団長を役員に組入れて、実戦的防空訓練や防火訓練が行われた。ちなみに越ヶ谷防犯協会町村支部の結成にあたっては、各町村ごとに防犯組長(防空群長)と警防団幹部がこれに参加、防空訓練打合会を事前に開催して支部結成式を挙行し、その後実戦的防空訓練を行うように通達されていた。