物価の統制

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政府は戦争の拡大にともなうインフレーションの昂進を防止するため、昭和十三年七月九日「物品販売取締規則」を公布し、公定価格制度を設けたが、同十八日には「暴利取締令」の改正法令を公布し、公定価格の強制的表示を強要した。さらに翌十四年には、同年九月十八日現在の諸物価を最高価格とし、一般商品の価格をはじめ運送賃や加工賃等もこの基準内に据え置くことを定めた。これを九・一八ストップ令と人びとは呼んだ。

 また同二十日には、昭和十三年八月四日現在の地代・家賃を基準とした「地代家賃統制令」、それに同十四年九月十八日を基準とした「賃金臨時措置令」と「会社職員給与臨時措置令」を公布し賃金給与の上昇を抑制しようとした。しかし戦局の拡大と長期化は、こうした一連の価格停止令や物価統制令では物価の上昇を防止することはできなかった。ことに物資の需要に対し、その供給がいちじるしく不足したため、供給不足によるインフレは昂進の一途を辿った。