衣料切符

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ことに衣料品はその原料の大部分が海外からの輸入に依存しており、しかも軍需衣料が急激に増大したため、昭和十二年には「スフ混用規則」が公布されている。このため一般衣料にスフ(ステープルファイバー。人造繊維)を混入することが強制され、スフ製品が盛んに出まわるようになった。ついで昭和十三年には、「綿糸非常管理令」と「毛織物製造制限規則」が公布され、綿毛類の使用が制限された。この結果純毛と純綿製品は店頭から姿を消し、かげでヤミ売買が横行した。だが昭和十五年八月には繊維製品の供給事情はいよいよ悪化したため、軍手・メリヤス・タオル・敷布・靴下・足袋などに、切符による配給制が施行された。さらに十七年一月二日に「繊維製品配給消費統制規則」が公布され、生産・配給・消費にわたる一貫した統制が行われたが、同時に点数切符制が採用され、その統制は一段と強化された。すなわち国民の一人あたり一年間の消費量は、都市部で一〇〇点、郡部で八〇点と制約されていたので、第48表の点数表にみられるごとく、郡部では背広一組とシャツ、ズボン下を買っただけで、もう何も買えないという状態であった。しかも現物が配給にともなわなかったため、切符があっても品物がないという状況であり、後にはその消費点数は五〇点あるいは四〇点と削減されていった。

第48表 主要繊維品の点数
品目 数量 点数
背広 1組 50
同上衣 1着 25
同ズボン 1着 15
男子外套 1着 50
1枚 48
単衣 1枚 24
袷羽織 1枚 34
丸帯等 1本 30
割烹着 1枚 8
前掛 1枚 2
モンペイ 1枚 10
長袖シヤツ 1枚 12
半袖シヤツ 1枚 6
ズボン下 1枚 12
パンツ 1枚 4
ネクタイ 1本 1
足袋 1足 2
座布団 1枚 24
敷布 1枚 10
手拭 1枚 3
湯上タオル 1枚 10
縫糸 1コ 1
衣料切符