警察費の町費負担

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自治体警察の諸経費は、警察吏員一人あたり年額一六万三五〇〇円の平衡交付金が国費から支給されたが、その他はすべて町費の負担となった。二十三年度の組合立警察費予算をみると、交付金を除いた警察費総額は、一六九万六五六一円である。このうち両町の負担割合は、人口割と世帯割の二本立で大沢町が五に対し越ヶ谷町が七の比率であった。

 いま少しこの内訳を二十四年度予算でくわしくみると、同年度警察費の歳入は、越ヶ谷町の分担金一七三万八五五三円、大沢町一二五万八四五二円、合計二九九万五〇五円、このほか自動車運転免許証発行手数料、古着商などの鑑札交付手数料などの雑収入を合せて総額三一四万余円であった。このうち越ヶ谷町の分担金一七三万余円は、越ヶ谷町費六三四万余円に対し、実に二七・四%にあたっている。もっとも国からの交付金がこれに含まれるが、それでも一〇〇万円程の負担額である。

 これに対し歳出の主なものをみると、公安委員会の会議費七万五〇〇〇円、署員の旅費一四万円、需用費八二万余円、備品費二九万円、署員の給料諸手当一五二万余円となっている。このうち署員の月額俸給は、署長が七四〇〇円、巡査部長平均六五〇〇円、巡査平均五〇〇〇円、別に署長の交際費年額二万四〇〇〇円である。因みに埼玉県内自治体警察二十五年度の警察費を掲げると、第15表のごとくである。これによると、決算見込額から平衡交付金を除いた額、つまり実際に市や町が負担した警察費となるが、このうちもっともその額が大きいのは大宮市の八二六万余円、次が川口・川越・浦和三市の七〇〇万円台、熊谷市の五一〇万円、町では松山町の三〇三万余円がもっとも大きく、次が蕨町の二二〇万余円、与野・深谷両町の一九〇万円台、次が越ヶ谷・大沢町の一六二万余円の順となっている。

第15表 昭和25年度自治体警察費調
市町名 決算見込額(A) 平衡交付金(B) (A)-(B)
川口市 39,338,038 31,709,900 7,628,138
川越市 18,223,000 11,118,000 7,105,000
熊谷市 18,186,215 13,080,000 5,106,215
浦和市 30,931,201 23,707,000 7,224,201
大宮市 27,887,948 19,620,000 8,267,948
行田市 8,930,314 6,867,000 2,063,314
所沢市 9,423,511 5,722,000 3,701,511
秩父市 7,328,100 6,540,000 788,100
戸田町 3,014,620 2,616,000 398,620
蕨町 7,107,530 4,905,000 2,202,530
谷塚町 1,863,000 1,779,000 84,000
草加町 3,265,750 2,779,000 486,750
与野町 6,333,980 4,414,000 1,919,980
上尾町 2,614,701 1,799,000 815,701
桶川町 2,187,019 1,799,000 388,019
鴻巣町 2,824,463 2,779,000 45,463
吹上町 1,282,637 1,308,000 △  25,363
志木町 1,608,000 1,635,000 △  27,000
大和田町 2,084,000 1,635,000 449,000
朝霞町 4,696,419 3,270,000 1,426,419
大和町 2,787,000 2,126,000 661,000
鳩谷町 1,096,315 1,158,100 △  61,785
豊岡町 4,843,684 3,433,000 1,416,684
入間川町 3,181,629 2,452,000 729,629
坂戸町 1,833,070 1,635,000 198,070
越生町 1,992,739 1,472,000 520,739
飯能町 9,080,062 6,050,000 3,030,062
松山町 3,155,689 2,453,000 702,689
小川町 2,628,780 1,798,000 830,780
小鹿野町 1,657,763 1,472,000 185,763
皆野町 1,067,081 1,308,000 △  240,919
本庄町 4,965,553 3,924,000 1,041,553
児玉町 1,857,430 1,472,000 385,430
深谷町 5,380,444 3,434,000 1,946,444
妻沼町 1,828,306 1,471,000 357,306
寄居町 2,963,314 2,289,000 674,314
羽生町 2,530,000 2,289,000 241,000
加須町 2,489,429 1,635,000 854,429
岩槻町 3,979,320 2,289,000 1,690,320
久喜町 2,131,023 1,635,000 496,023
春日部町 3,629,961 3,597,000 32,961
越ヶ谷町 2,479,624 1,472,000 1,007,624
大沢町 1,761,053 1,145,000 616,053
蓮田町 2,006,179 1,798,000 208,179
菖蒲町 1,683,005 1,308,000 375,005
幸手町 2,635,242 1,798,000 837,242
杉戸町 1,747,338 1,472,000 775,338
吉川町 1,774,646 1,472,000 302,646

備考 平衡交付金の算定は警察吏員の定員をその人数と地域差とによる補正をしてそれに¥163,500を乗じて算定されたものである

 おそらくいずれの市や町にあっても、警察費の自費捻出は、自治体財政の窮迫下においてきわめて困難な状況にあったに違いない。事実越ヶ谷・大沢組合警察費の出金にあっては、警察組合管理者越ヶ谷町長から大沢町長宛に、「経費の支出上支障があるので、可及的速やかに分賦金の納入をご配慮いただきたい」という督促状がしばしば出されていた。しかも警察の運営にあたっては、必ずしも当初予算通りの執行は不可能で、インフレに対する署員の特別手当、あるいは署員住宅の建設など、必要に応じて補正予算を組まねばならなかった。町民の要望による駐在所の設置などもその一つに数えられる。