このようにして農地改革が完了した結果、桜井村の自作地と小作地の耕地面積は、二十五年五月時点で第29表のごとくなった。すなわち、小作地率は改革直前と比べて水田では六四・四%から八・一%へ、畑地では五六・〇%から一三・〇%へと減少し、地主・小作関係は基本的に消滅した。同じ時点で大袋村の残存小作地率は水田で五・八%、畑地で六・五%、川柳村の場合は水田で七・七%、畑地で八・四%、増林村の場合は水田で一五・七%、畑地で一三・七%と、増林村が一〇%台であるのにたいし、大袋・川柳両村とも水田・畑とも一〇%未満となった。なお、埼玉県の昭和二十五年二月一日時点での調査結果では、県全体では、自作農は五五・三%、自小作が三六・六%、小自作が五・一%、小作が二・九%であり、ちなみに農地改革前の昭和十九年の割合をみておくと、自作一八・〇%、自小作一七・八%、小自作二一・五%、小作三六・四%であった。昭和二十二年八月一日時点と比較して実数にして、小作が四万四〇三〇戸、小自作が二万五八三六戸減少し、自作が四万八五二六戸、自小作が二万五八三六戸増大している。こうして創設された自営農民の経営規模別農家数をみると、第30表のごとくである。このように農地改革によって、基本的には地主・小作関係は一掃されたとはいえ、農家自体は依然として零細な生産基盤におしとどめられ、二十七年に法制化された農地法は、この零細な私的土地所有をさらに固定化するものであった。
種別 | 田畑面積 | 合計面積 | 比率 | ||
---|---|---|---|---|---|
町 | % | 町 | % | ||
自作地 | 田 | 241.6 | (91.9) | 381.2 | 90 |
畑 | 139.6 | (87.0) | |||
小作地 | 田 | 21.3 | (8.1) | 42.1 | 10 |
畑 | 20.9 | (13.0) |
(昭和25年5月)
総数 | 3反未満 | 3~5 | 5~10 | 10~15 | 15~20 | 20~30 | 30~50 | 例外規定 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
桜井村 | 389 | 20 | 31 | 124 | 151 | 50 | 13 | ||
新方村 | 340 | 38 | 30 | 94 | 99 | 58 | 19 | 2 | |
増林村 | 580 | 31 | 41 | 193 | 204 | 95 | 13 | 2 | |
大袋村 | 445 | 30 | 27 | 130 | 139 | 82 | 37 | ||
荻島村 | 441 | 23 | 43 | 105 | 145 | 100 | 25 | ||
出羽村 | 478 | 36 | 34 | 104 | 166 | 103 | 34 | 1 | |
蒲生村 | 386 | 44 | 53 | 162 | 93 | 33 | 1 | ||
川柳村 | 450 | 16 | 41 | 170 | 178 | 41 | 4 | ||
大相模村 | 480 | 27 | 37 | 140 | 167 | 91 | 18 | ||
越ヶ谷町 | 145 | 37 | 36 | 53 | 6 | 3 | 1 | 9 | |
大沢町 | 195 | 45 | 26 | 40 | 39 | 18 | 3 | 24 |
(昭和25年2月1日)