町村合併にあたっては、新町の建設計画が示されたが、このうち主なものを掲げると次のごとくである。
新町建設の基本方針
二町八ヶ村の大同団結によつて、地方自治体としての財政力の強化と行政能力の向上を期し、更に都市計画を実施して道路網を整備し、東京都衛星都市として誘致計画を樹てるとともに、農業経営の合理化をはかり、農道かんがい用水路を修築整備し、商工業及び農業の均衡的施策を行い、社会施設の振興をはかり、住民全般の福祉の増進をはかるものとする。
役場の位置
埼玉県南埼玉郡越谷町四五八二番地に置くが、速かに適当な位置に新築するものとする。
支所・出張所の位置
当分の間左の支所を置く
大泊 桜井支所 北川崎 新方支所
増林 増林支所 大竹 大袋支所
南荻島 荻島支所 七左衛門 出羽支所
蒲生 蒲生支所 東方 大相模支所
大沢 大沢支所
支所で行う事務
戸籍住民登録に関する事務
配給に関する事務
税その他の収入に関する事務
国民健康保険に関する事務
農業委員会に関する事務
その他住民に直結する簡易なる事務
小・中学校の位置
桜井小・中学校 大泊 出羽小・中学校 四町野 新方小・中学校 北川崎 蒲生小・中学校 蒲生 増林小・中学校 増林 大相模小・中学校 東方 大袋小・中学校 大竹・恩間 越ヶ谷小・中学校 越ヶ谷 荻島小・中学校 南荻島 大沢小・中学校 大沢
小学校 老朽せる校舎は急速に新築し、二部教授の解消を速かにはかるなど教育環境の可及的改善を期する。当分学区は現状のままとし、必要に応じ環境・通学距離等を考慮し、学区を設けるものとする。
中学校 生徒数の増加・環境等を考慮し、実情に即するよう増築又は新築するものとす。学区は当分は現状のままとし、実情に即し将来学区を設け或は統合を行うものとする。
公民館・図書館の統合整備に関する事項
現在の公民館を整備拡充し、将来中央公民館を新築するものとする。現在の図書館を整備拡充し、移動図書館を設けること。
消防施設の統合整備に関すること
機械化を図り整備拡充する。防火貯水池の整備新設をはかる。消防団の統合整備を行い、将来常備消防の設置をはかる。
病院等衛生施設の統合整備に関する事項
既存の病院・診療所・隔離病舎の整備拡充をはかり、必要に応じ新設をはかる。既存の火葬場を整備拡充する。又ふんにょう、じんかい処理、下水道の整備等を通じて衛生設備の改善をはかる。
保育所等の厚生施設の統合整備に関する事項
既存の保育所・授産所の整備拡充をはかり、実情に応じ新設をはかる。公営住宅を逐次新築し、将来統合運動場・公園の新設を考える。既設の児童遊園の整備拡充をはかり、適当の箇所に増置する。
道路等土木施設の整備に関する事項
財政の許す範囲内において、都市計画と相まつて逐次町道・産業道路及び側溝の新設改修整備を行い、国道県道改修並びに舗装を強く要望する措置をとる。重要路線の橋梁の腐朽したものは、速かに改修整備すると共に必要箇所に新設をはかる。
水道事業等公営企業に関する事項
速かに調査研究の上、建設計画をたてるとともに、簡易上水道を新設する。社会状勢等を考究し、既存の公益質屋の整備拡充をはかり、将来町営青果市場循環バスの新設をはかる。
その他
大工場の誘致をはかる。商工会の統合をはかる。玉葉線の建設計画促進と実現をはかる。名勝旧蹟の箇所等整備し、将来当地区の観光事業の促進をはかる。
などとなっていた。さらに、町村自治体の枠内では施工できないもの、及び町村自治体の管轄外にあるものに対する要望として、国に対しては、
(1)旧四号国道の修理についてとして、旧大袋村・旧桜井村地内新国道舗装工事の期間中、諸車の通行は四号旧国道を利用したため破損甚しく、新国道完成のあかつきは、旧国道をそのまま放置することなく、復旧の上引継ぎせられるよう要望する。
(2)四号新国道歩道の舗装を促進すると共に、路面の損傷は速かに修理することを要望する。
(3)鳥害補償の意味をもって、宮内庁御猟場の御下賜金を復活するよう要望する。
県に対しては、
(1)重要路線の橋梁の腐朽したものは、速かに改修整備し、県道浦和・越ヶ谷線、元荒川に旧出羽村より旧大袋村地内を経て旧大沢町日光街道に通ずる新橋を架設するよう要望する。なお旧新方村より北葛松伏領村への交通は、古利根川の渡船により行われているが、野田方面との交通の便を考え、県道越ヶ谷・野田線と、春日部・吉川線とを結ぶよう古利根川に架橋せられるよう要望する。
(2)県道改修についてとして、春日部・吉川線県道は、幅員狭隘にして屈曲甚しく、交通機関の発達により、交通量の増加に伴い危険を感じ、これが拡張並に屈曲の整理等改修の措置を要望する。
県道越ヶ谷・岩槻線、浦和・越ヶ谷線の舗装実施を要望する。
県道越ヶ谷・鳩ヶ谷線並に草加・大門線の改修促進を要望する。
県道大相模・千住線、旧大相模村地内中川沿岸県道の一部約五〇〇米の間は、狭隘にして屈曲多く、交通上非常に不便にして交通事故のおそれがあるので、早急にこれが改修を要望する。
市街地に面する県道の側溝の設置を要望する。
(3)堤塘の補修についてとして、旧荻島村地内荻島中学校周辺の元荒川両岸堤塘は、風水害により増水の際の保持は困難にして、住民の不安とするところにして、完全な補修を速に行われんことを強く要望する。旧桜井村の葛西用水に面する平方地区の堤防を、水防上笠揚することを要望する。合併に伴う役場庁舎新築に対し、年度内において補助及び起債の考慮を要望する。県営住宅の招致を要望する。
(4)郵便・電信・電話に関するものとして、大袋駅附近に無集配郵便局の設置を要望する。郵便の管区を速に越ヶ谷局に統一されるよう要望する。電信電話については、旧新方村の松伏局、旧桜井村の武里局、旧大相模村の吉川局を越ヶ谷局に変更せられるよう要望する。
(5)交通機関については、玉葉線の速かなる実現を要望する。東武鉄道越ヶ谷駅折返しを、大袋駅まで延長を要望する。東武鉄道越ヶ谷駅西口の設置を要望する。東武バス野田・南千住線の八重洲口乗入を要望する。都営バスの越谷までの延長を要望する。
これらは新町建設に際し、差迫った問題として各町村が持寄った要望の集約であった。さらに新生の越谷町では、二十九年以降五ヵ年間の財政計画をたてたが、その歳入歳出項目別の規模は第44表のごとくである。歳入歳出ともに、五ヵ年後の財政規模は、初年度よりおよそ倍近くの増大を見込んでいた。また越谷町の職員配置案は第45表のごとくであり、一六四人の一般職員で新越谷町役場を発足させることになっていた。
昭和29年度 | 昭和30年度 | 昭和31年度 | 昭和32年度 | 昭和33年度 | 昭和34年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1.町村税 | 34,186 | 68,371 | 67,687 | 67,004 | 66,320 | 65,952 |
2.地方交付税 | 9,749 | 19,370 | 19,370 | 19,370 | 19,370 | 19,370 |
3.公営企業及び財産収入 | 122 | 243 | 243 | 745 | 745 | 1,245 |
4.分担金及び負担金 | ||||||
5.夫役及び現品 | ||||||
6.使用料及び手数料 | 378 | 800 | 850 | 900 | 900 | 1,000 |
7.国庫支出金 | 1,376 | 5,000 | 5,000 | 5,000 | 4,500 | 4,460 |
8.県支出金 | 1,118 | 2,237 | 2,215 | 2,215 | 2,215 | 2,215 |
9.寄付金 | 185 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
10.繰入金 | 21 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
11.繰越金 | 5,442 | 5,000 | 5,300 | 5,300 | 5,500 | 6,000 |
12.雑収入 | 2,133 | 3,267 | 2,758 | 1,708 | 1,501 | 1,507 |
13.町村債 | 891 | 9,000 | 10,000 | 10,000 | 10,000 | 8,000 |
歳入計 | 55,601 | 113,290 | 113,425 | 112,244 | 111,053 | 109,751 |
(単位 千円)
昭和29年度 | 昭和30年度 | 昭和31年度 | 昭和32年度 | 昭和33年度 | 昭和34年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1.議会費 | 1,272 | 2,000 | 1,200 | 1,200 | 1,200 | 1,200 |
2.役場費 | 17,601 | 32,700 | 32,030 | 32,030 | 32,030 | 32,030 |
3.警察消防費 | 3,134 | 4,200 | 4,200 | 4,000 | 4,000 | 4,000 |
4.土木費 | 2,833 | 10,000 | 15,000 | 14,000 | 14,000 | 14,000 |
5.教育費 | 15,836 | 31,770 | 26,770 | 26,770 | 26,770 | 25,770 |
6.社会及び労働施設費 | 1,029 | 2,500 | 2,500 | 2,500 | 2,500 | 2,500 |
7.保健衛生費 | 2,614 | 7,000 | 8,500 | 8,500 | 7,500 | 7,500 |
8.産業経済費 | 3,990 | 8,500 | 8,500 | 8,500 | 8,500 | 8,500 |
9.財産費 | 1,464 | 3,000 | 3,300 | 3,600 | 3,600 | 3,600 |
10.統計調査費 | 171 | 350 | 350 | 350 | 350 | 350 |
11.選挙費 | 308 | 800 | 400 | 400 | 400 | 400 |
12.公債費 | 1,081 | 2,380 | 2,595 | 2,811 | 3,028 | 3,244 |
13.諸支出金 | 3,160 | 5,000 | 5,000 | 4,500 | 4,000 | 4,000 |
14.予備費 | 1,108 | 3,090 | 3,080 | 3,083 | 3,175 | 2,657 |
歳出計 | 55,601 | 113,290 | 113,425 | 112,244 | 111,053 | 109,751 |