事業の特色と改良区

928 / 1164ページ

越谷市域の土地改良事業は昭和三十四年後半にはじまるいわゆる高度経済成長期における、水稲栽培の大型機械化技術体系の展開基盤となるような事業は、実施されなかった。一筆平均一〇アール(二〇メートル×五〇メートル)の圃場整備事業は、どちらかといえば耕耘機段階どまりの土地改良であった。いいかえれば越谷市域の土地改良は自作農中心型農村向けの土地改良であって、その後の市域農業をとりまく環境条件の変化によって、自作農家層が分化、変質していく中での水田の所有者とそれを耕作する者との分離傾向(委託耕作や農地信託の発生)と、これを可能にした中・大型農業機械の普及に呼応する土地改良ではなかった。

 なお、これまでに設立された土地改良区は、市域の四〇%を占める新方領用悪水路土地改良区をはじめ、末田、出羽、蒲生、大相模、増林(第一、第二、第三)、中島の計九団体であるが、このうち増林第三土地改良区は設立目的を達成してすでに解散した。しかし、新方領、末田等の土地改良区は用排水の維持管理機能を併せ有するために、今後とも水田の在る限り継続することになっている。

第7表 越谷市内の土地改良区
土地改良区 設立年度 事業年度 事業内容 事業面績 組合員数
ha
増林第三 昭和32年 ~36 圃場整備 399.3 620
出羽 昭和30年 31~36 圃場整備 629.0 660
大相模 昭和33年 33~38 圃場整備 734.0 2,314
中島 昭和48年 48 圃場整備 32.0 55
増林第二 昭和31年 31~32 圃場整備 43.3 155
末田大用排水 7~11 圃場整備 1,155.0 5,091
蒲生 8~26 圃場整備 569.0 397
新方領用悪水 戦前 圃場整備 2,021.0 1,724
小計 5,582.6 10,998

越谷市農業委員会資料