まず、この間の都市化による農地の潰廃状況をみよう。
上のグラフは農家自身が農業以外に転用した農地法第四条によるものと、農家が第三者に農業以外の転用を目的に譲渡した第五条によるものを合せたものである。これによると、昭和三十一年ごろから少しづつ農地の潰廃が進んでいたが、三十四~五年ごろから急激に潰廃が増大し、四十四年には一万一九九四件、約一二〇ヘクタール(約一二〇町歩)の農地転用が行われてピークをなす。
当初、この農地の潰廃も、工場用地への転用が主であったが、それは三十四年から三十七年までで以後減少傾向に転ずる。それにかわって三十八年頃よりは、住宅地としての転用が増大し、貸住宅、分譲住宅敷地等が目立ちはじめ、以後この傾向はますますつよまってくる。この工場用地化から住宅用地化への移行は、おもに地価の高騰、都心への通勤圏の拡大によるものと思われる。
そして、全体として昭和二十五年当時、四一九〇ヘクタールの農地面積は、四十五年には三〇二五ヘクタールと、一一六五ヘクタールの農地が潰廃されている(第10表参照)。このうち四十三年から四十七年にかけての五年間の農地転用状況をみると、第四条による転用では、一六三七件、約一一〇ヘクタールである。この内訳は住宅が四一〇件、一九・六ヘクタール、貸住宅が九四四件七〇・三ヘクタール、その他になっている。これに対し第五条による転用では、四〇七四件約三〇四ヘクタール、この内訳は建売住宅五六六件、九八・三ヘクタール、住宅二〇七六件六三・二ヘクタール、貸住宅五一一件四〇・三ヘクタール、公共用施設六件二五・六ヘクタール、工場五九件一一・八ヘクタール、その他の順になっている。
年次 | 総面積(ha) | 農家放(戸) | 農業労働力(人) | 0.3ha未満 | 0.3~0.5 | 0.5~1.0 | 1.0~1.5 | 1.5~2.0 | 2.0~3.0 | 3.0~5.0 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
25 | 4,191 | 4,057 | 12,910 | 339 | 370 | 1,201 | 1,287 | 656 | 166 | 3 |
35 | 4,134 | 4,123 | 12,805 | 435 | 439 | 1,156 | 1,186 | 670 | 169 | 1 |
40 | 3,539 | 3,803 | 8,856 | 443 | 522 | 1,161 | 976 | 514 | 139 | ― |
45 | 3,025 | 3,416 | 413 | 558 | 1,102 | 765 | 431 | 117 | 1 |