作目構成の変化

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以上のような営農条件の悪化の中で、農業経営がどのような変化をとげてきたかを作目構成農産物販売状況の変化の中からみてみよう。

 三十五~四十年で最も変化の大きいものは、麦作、いも類の減少である。麦作はこの五年間で放棄に近い形となった。野菜は四十二年頃までは他の作目に比較して減少率が小さかったが、それ以後、その率は増大している。それは、野菜作が労働集約的部門であること、それに対し四十年以後のⅡ兼化、離農への急速な農業就業労働力の量的・質的低下と対応する。四十五年の時点までは省力化がすすみ、価格の最も安定している稲作の耕作面積の減少が最も少ない。この間の変化は、しだいに稲作と野菜に集中していることが特徴的である。

 野菜栽培では、この間、施設野菜としてのトマト、ナス、きゅうりなどの作付面積が増大し、露地ものは減少しつつある。しかし、その減少の幅は三十五~四十年は四・六%と小さかったのに対し、以後の四年間では二五・一%と増大している。その中ではネギ、レタス、ほうれんそうなどの軟弱ものが比較的安定しているが、キャベツ、夏秋きゅうり、秋大根類、夏ナスなどは大幅に減少しつつある(第16表)。

第16表 主要作物作付面積の推移
年次 麦類 豆雑穀 いも類 野菜
(ha) (ha) (ha) (ha) (ha)
35 3,288 515 195 110 799
40 2,834 44 113 41 773
42 2,644 15 75 28 648
45 2,397 8 73 17 442
35年を100とした時の比率
35 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
40 86.2 8.5 57.9 37.3 96.7
42 80.4 2.9 38.4 25.4 81.1
45 72.9 1.5 37.4 15.5 54.1

 さらに三十五年から四十五年にかけての主な農産物の販売額を示すと、第17表のごとくとなる。これによると、三十五年には、米の三四億円、畜産の二二億円、野菜の一〇億円という順であるが、四十二年には畜産が一二〇億円と米の一一〇億円を抜いて一位となり、四十四年には畜産が四四〇億円と、米の一二〇億円を大きく上まわって差をつけている。しかも米と野菜の差もいよいよ縮まってきたのが知れる。もっとも畜産は主に養鶏による卵や肉の出荷額であるが、この畜産数を参考までに四十五年度で地区別に示したのが第18表である。

第17表 年次別主な農産物の販売額
年次 野菜 畜産 豆雑穀
億円 億円 億円 億円 億円
35 34.0 1.4 10.0 22.1 0.15
40 102.5 1.6 77.2 99.4 0.15
42 110.0 1.0 95.0 120.0 0.1
44 120.0 0.8 105.8 440.0 0.05
第18表 主要家畜種類別頭羽数
地区 乳用牛 肉用牛 やぎ にわとり ブロイラー
合計 120 3 1,292 2 401,101 2,309
桜井 39 3,744
新方 22 1 450 15,225 2,300
増林 5 1 193,405
大袋 1 10 1 32,195 9
荻島 133 22,494
出羽 20 1 553 28,181
大相模 39 115 56,620
越ヶ谷 29,560
大沢北越谷 6 7,750
川柳 4,327
蒲生 20 7,600

(昭和45年2月1日現在)

資料 世界農林業センサス