農業への執着

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農民の中に、農業への夢と希望を失い、浮足だった恰好で、なんとか都市化に便乗し、上手に転身をはかりたいという意識やそれにもとづく対応が農村の中で大きな位置を占めていたことは事実である。しかし、そうした中にあって、困難な諸条件の中で、意欲的な農業経営を希望し、商品生産に主眼をおき、米、蔬菜、畜産などの合理的な経営を目指そうとする動きもまた、新しくおこっている。たとえば四十一年八月の「新農家台帳調査」によると、九〇%以上の農業所得率の農家の四四%と、五〇~九〇%未満の農業所得率の農家の二二%、全体として一八%の農家が将来農業だけで生活したいと希望している。しかも農業中心に生活を維持したいとする農民は全体の五割をこえる割合となり、やめたいと回答した農家は全体で五一戸、一・三%にすぎない(第20表)。すなわち下層であっても何らかの形で農業を続けようとしていたし、上履にあっては、まだまだ農業に対する意欲がうかがえるのである。

第20表 農業に対する将来の意向と現代の所得割合
所得割合10%未満10~5050~9090%以上
将来のみとおし
農業だけ694748206433
農業中心1,49164382592453
兼業中心1,26859748711767
やめたい32225744912
記入なし51258513
3,826950969920978