越谷市は中央を南北に走る国道四号線、草加バイパス、東武鉄道を軸に発展を続けてきた。その結果、都市的な機能――住宅、店舗、学校、病院、公園等――もほぼこれに合わせて帯状に展開していった。この帯状の都市化地域の形成に、現在、大きな影響をおよぼしているのが、新都市計画法に基づくところの市街化区域と市街化調整区域の境界線である。いいかえれば、昭和四十五年頃までに形成されていた都市化地区と鉄道、道路、水路等の空間分断作用をもつ地物とに基づいて引かれた一本の線によって、越谷市の発展形態は大きく方向づけられたわけである。
ところで、市街化地域の中のそれぞれの地区では、用途地域の指定によって、工業地区、商業地区、住宅地区などの特色をもたせた地域づくりが進められている。このうち、商業地域としては越谷駅、北越谷駅周辺ならびに連続する旧越ヶ谷、大沢の既成街区と蒲生、南越谷、大袋、千間台の各駅周辺が指定され、準工業地域としては越谷南部の谷古田用水路と四号国道間が、さらに特別工業地区としては大袋駅南の四号国道沿線が指定されている。また住居地域は、鉄道と国道間にあたかも越谷市域を南北に貫くように位置づけられ、その東西両側に第一種・第二種専用地域がはりつけられている。
しかしながら、一般に用途地域の指定そのものが強い地域形成力をもたないうえに、地域指定がやや自然発生的な現況主義に基づいてなされたため、現実には各用途地域の性格は、必ずしも指定どおりの方向に形成されていかなかった。とくに越谷市の場合は、住宅公団や大手不動産による大規模な住宅も工業団地も造成されなかったため、都市化は零細不動産業者や中小企業の手によって、スプロール現象と呼ばれる無秩序に近い形で宅地などの造成が進められてきた。このため、市内の都市的土地利用は、とかく雑然としたものになりがちであった。
こうした状況のなかで、少しでも住み良い都市づくりを目指して推進されているのが、市を事業主体とする土地区画整理事業である(第38表)。区画整理事業は、東武線西側で行われている千間台(千間台駅)、北越谷(北越谷駅)、南越谷(南越谷駅・蒲生駅)の三事業とも、第二種住居専用地域のほかに、上記の駅前商店街を含めて施行されてきた。一方、東側の各事業はすべて、駅から一・五キロメートル前後も離れた、第一種または第二種住居専用地域である。
計画 | 街区の概要 | |||||||
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事業名 | 用途地域及び計画人口 | 街路配置 | 公園 (単位m2) |
施工後の土地種目別地積 (単位m2) |
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% | ||||||||
北越谷 | 住居地域 | 都市計画街路 | 4路線 | 第1公園 | 1,652 | 道路 | 129,039 | 19.49 |
第二種住専 | (巾員16~12m) | 1,959m | 第3公園 | 2,113 | 水路 | 1,814 | 0.27 | |
商業地域 | 区画街路 | 第4公園 | 1,090 | 駅前広場 | 2,408 | 0.36 | ||
近隣商業地域 | (巾員8~4m) | 15,557m | 北越谷公園 | 15,116 | 公園 | 19,973 | 3.02 | |
駅前広場 | 2,400m2 | 宅地 | 463,974 | 70.07 | ||||
保留地 | 35,061 | 5.30 | ||||||
その他 | 9,841 | 1.49 | ||||||
東小林 | 住居地域 | 都市計画街路 | 3路線 | 道路 | 111,856 | 19.94 | ||
第二種住専 | (巾員16m) | 2,139m | 第1公園 | 14,876 | 水路 | 2,737 | 0.49 | |
4,500人 | 区画街路 | 第2公園 | 1,984 | 公園 | 16,859 | 3.00 | ||
(巾員16~4m) | 12,797m | 宅地 | 369,708 | 65.90 | ||||
保留地 | 46,724 | 8.33 | ||||||
その他 | 13,153 | 2.34 | ||||||
南越谷 | 住居地域 | 都市計画街路 | 2路線 | 道路 | 152,869 | 20.89 | ||
近隣商業地域 | (巾員16~28m) | 811m | 第1公園 | 16,403 | 水路 | 7,604 | 1.04 | |
商業地域 | 区画街路 | 第2公園 | 2,891 | 駅前広場 | 11,598 | 1.58 | ||
第二種住専 | (巾員20~4m) | 18,168m | 第3公園 | 2,981 | 公園 | 22,279 | 3.04 | |
7,329人 | 駅前広場 3ヶ所 | 11,598m2 | 宅地 | 460,953 | 62.97 | |||
鉄道用地 | 13,114 | 1.79 | ||||||
学校 | 17,460 | 2.38 | ||||||
保留地 | 46,186 | 6.31 | ||||||
千間台 | 住居地域 | 都市計画街路 | 3路線 | 第1公園 | 2,500 | 道路 | 260,625 | 20.86 |
商業地域 | (巾員25~16m) | 1,420m | 第2公園 | 2,200 | 水路 | 6,343 | 0.51 | |
第二種住専 | 区画街路 | 第3公園 | 2,800 | 駅前広場 | 11,018 | 0.88 | ||
近隣商業地域 | (巾員16~4m) | 28,644m | 第4公園 | 27,535 | 公園 | 37,535 | 3.00 | |
12,500人 | 駅前広場 2ヶ所 | 11,018m2 | 第5公園 | 2,500 | 宅地 | 818,139 | 65.49 | |
鉄道用地 | 17,390 | 1.39 | ||||||
保留地 | 79,170 | 6.34 | ||||||
学校 | 19,160 | 1.53 | ||||||
東越谷第一 | 住居地域 | 都市計画街路 | 3路線 | 第1公園 | 2,842 | 道路 | 43,383 | 23.72 |
第二種住専 | (巾員16m) | 1,122m | 第2公園 | 2,645 | 水路 | 693 | 0.37 | |
1,500人 | 区画街路 | 公園 | 5,487 | 3.00 | ||||
(巾員4~8m) | 4,192m | 宅地 | 123,197 | 67.37 | ||||
保留地 | 10,134 | 5.54 | ||||||
東越谷第二 | 住居地域 | 都市計画街路 | 4路線 | 第1公園 | 3,630 | 道路 | 83,505 | 19.97 |
第二種住専 | (巾員16m) | 1,704m | 第2公園 | 6,014 | 水路 | 4,879 | 1.17 | |
3,300人 | 区画街路 | 第3公園 | 2,926 | 公園 | 12,571 | 3.01 | ||
(巾員16~4m) | 8,908m | 宅地 | 300,770 | 71.93 | ||||
保留地 | 16,380 | 3.92 | ||||||
その他 | ||||||||
南部地区 | 住居地域 | 都市計画街路 | 1路線 | 第1公園 | 2,160 | 道路 | 104,185 | 21.84 |
第二種住専 | (巾員16m) | 990m | 第2公園 | 3,560 | 水路 | 3,095 | 0.65 | |
4,750人 | 区画街路 | 第3公園 | 2,380 | 公園 | 14,320 | 3.00 | ||
(巾員12~4m) | 14,712m | 第4公園 | 3,980 | 宅地 | 313,777 | 65.77 | ||
第5公園 | 2,240 | 保留地 | 41,043 | 8.60 | ||||
学校 | ||||||||
その他 | 664 | 0.14 |
このうち、すでに完了したものは北越谷、東小林、南越谷、千間台の四事業区三二〇・四ヘクタール、施工中のものは東越谷第一、第二、南部地区の三事業区一〇七・七ヘクタール、計画決定段階のものは鷺高地区一〇一・二ヘクタールがあり、その合計面積は五二九・三ヘクタールにのぼっている。計画によれば、この生活空間としてほぼすべてを整えた計画的な街区に収容可能な人員は、千間台土地区画整理事業区の一万二五〇〇人を筆頭に、合計四万四〇〇〇人がみこまれている。