附慶長元申年小判小粒初ル
同元禄八亥年金銀御吹替元之字金と唱へる事
同元禄十丑年弐朱判今度新金ニて出来通用被仰出
候御触
同宝永元申年銀吹替宝之銀と唱へる事
同宝永五子年十文銭初ル
同宝永七寅年金銀吹替乾金三宝銀と唱へる事
同正徳四午年金銀吹替被仰出其外御触書ニ委敷有
之事
同享保四亥年乾金通用相止事
同享保六丑年金銀引替と有之候得共全ク金銀座引
替ニ可有之事
同元文元辰年金銀御吹替文之字金と唱へる事
同明和二酉年文字銀同位を以懸ケ目五匁ニ定り銀
吹立事
同明和五子年四文銭通用
同安永元辰年南鐐銀通用
同文政元寅年弐分金通用并御触書
同文政二卯年小判小粒御吹替并御触書
同文政三辰年丁銀御吹替并御触書
同文政七申年弐朱判目方七分減吹直候旨御触書并
通用日限触
同文政七申年壱朱判新規御吹立被仰出同通用日限
之御触
一慶長元申年小判小粒初ル、小判形長弐寸三分程巾壱
寸弐分半程ニして当時之小判小粒形ちなり、小判目
方四匁八分金を赤くこさめこまかき様子小粒形チ、
長五分半程幅三分程ニして目方壱匁弐分金共右同断
但細工はざつ成方也
一元禄八亥年金銀御吹替小判之形チ少〻小形ニして厚
し、目方四匁八分小粒形チ長五分程幅三分程にして
厚し、目方壱匁弐分金共しらけ候様子にて元之字極
印有之故元之字金と唱ふる也
一元禄十丑年弐朱判今度新金ニて出来通用被仰出候御触
覚
今度新金ニて弐朱判出来世間江相渡し通用自由之た
めに候間、国〻所〻迄其旨を存商売請取方渡方無滞
弐朱判とも用可申候、壱分半分之積りたるへき事
大判小判壱分判勿論有来候通用可仕事
前〻相触候通似セ金銀仕者有之ハ訴へニ出へし縦同
類たりといふ共其料をゆるし急度御ほふひ被下、あ
たをなさゝるやうニ心を付少も疑敷儀を見及聞及候
ハゝ早速可申出、隠置外ゟあらハるゝニおゐてハ本
人ハ不及申諸親類其所之者共可為曲事事
丑六月
一宝永元申年宝之字銀ト改出来候と和漢年代記ニ見江
たり、又大冊之節用年代記ニ（宝永三戌年と有之、
何れ宝之字極印有之銀出来候と見江たり
一宝永五子年十文銭通用初ル
覚
此度京都銭座ニて大銭出来候、世間通用自由之ために
候間諸国何方ニよらす売買受取方渡方無滞只今迄之新
銭ニまじへ通用可申候、但大銭壱銭は只今迄之十銭ニ
相当り候積りニ候事
只今迄之新銭相場金壱両ニ三貫九百より四貫文迄之積
りニ定、それより高下無之様ニ相守大銭をさしましへ
通用可仕候事、附大銭当四月ゟ通用仕候事
大銭外とて似セ持候者於有之は曲事たるへき事以上
閏正月
一宝永七寅年金銀御吹替ハ和漢年代記ニ見江たり、又
大冊之節用年代記ニハ乾金三ツ宝銀出ると見江たり、
此乾金小判小粒共形チ半減ニして小判目方弐匁四分
小粒目方六分金色こき山吹色なり、乾之字極印有之
故乾金と唱ふるなり尤此小判少し
一正徳四午年新金銀ニ御吹替被仰出、其外通用法定書
割合之次第両替ニて都合四通悉く其節之御触書ニ委
敷有之間右触心得可知事
一享保四亥年乾金通用止と年代記ニ相見江候、尤利左
衛門控ニハ享保三戌年ゟ新金ニ引替候節は有金并借
金銀共乾金弐両之替り新金壱両ニて通用仕り、但此
新金ハ小判之目方四匁八分程小粒目方壱匁弐分程ニ
て慶長金同様之位ニ正徳四午年より出来候由申伝候
一享保六丑年金銀引替初ルと両面摺年代記ニ相見江候
得共、又大冊節用年代記ニは同年十月銀座引替初ル
と有之、全ク金銀引替ニ無之銀座之引替ニ相違有之
間敷と覚候
一元文元辰年金銀吹替今年享保廿一辰五月七日元文と
年号替り則文之字極印小判小粒ニ有之小判之目方三
匁六分よりハ小粒目方九分よりハ尤有金之分は六割
半、銀は五割之勘定を以江戸表ニて通用仕候、借金
銀之分は何れも壱両は壱両ニて通用可仕趣被仰付候、
但小判形チ長弐寸壱分半程ニて幅壱寸壱分程小粒形
チ長五分弐厘幅三分壱厘程
一明和二酉年文字銀同位を以掛目五匁ニ定り銀吹立被
仰付候間、有来候丁銀子玉銀ニ取交渡方請取方無滞
通用可致候、右之趣国〻江も可知触者也
一明和五子年四文銭通用
一安永元辰年南鐐銀通用、此目方弐匁七分程
一文政元寅年弐分金通用初ル、此形長七分半程幅四分
程角ニて目方壱匁八分金共赤く但文字御極印真字ニ
てあり此節御触書
覚
此度せ上通用ため弐分判金新規吹立被仰付候間、右
歩判弐ツを以金壱両之積り、尤銀銭とも両替小判壱
分判同様之割合ニ相心得取交無滞可致通用候、右之
趣国〻江も可触知者也
四月
此度世上通用之ため吹立被仰付候弐分判金之儀、来
月十日ゟ通用可致候、尤先達て相触之通小判壱歩判
江取交無差別取引為致候条通用差滞申間敷候事
一小判之金之儀年久敷相成自然と瑕金等多く世上難儀
之趣相聞候ニ付、追て及沙汰候迄は五分以上之切金
は勿論、其以下之瑕金ニても無差別小判弐分判壱分
判弐朱判取交無代ニて引替可遣候間、武家在町とも
所持之者は来月十日ゟ後藤三右衛門役所を初別紙名
前之者方へ早〻差出し引替可申候、尤五分以下之瑕
金通用方ニおゐてハ是迄之通ニ候間、心得違致間敷
候事
一弐分判切替之儀壱分判同様相心得不相当之儀致間敷
旨両替共江申付候間、其旨可相心得事
引替所名前
本郷壱丁目 後藤三右衛門役所
駿河町 三井三郎右衛門
本葺屋町 三谷三九郎
上槙町 泉屋吉次郎
室町三丁目 竹原屋文右衛門
金吹町 播摩屋新右衛門
堀留町壱丁目 舛屋源四郎
大伝馬町壱丁目 殿村屋三五兵衛
合八人
寅五月
別紙之通被仰出候条得其意、廻状村下名主令請印早
〻順達留り村ゟ可相返者也
寅六月七日 吉岡次郎右衛門印
西方村外村〻
一文政二卯年小判小粒御吹替小判形長弐寸程幅壱寸五
厘程ニて余程厚く相成、目方三匁六分より金色赤く
但文字御極印小粒形は長五分半程、幅三分半程ニて
是迄ゟ少〻大キく薄く相成候、目方九分より金色右
小判ニ同断、但文字御極印何れもそら字ニて御座候、
此節御触書
覚
此度吹直被仰付候小判壱分判之儀、来ル廿日追〻引替
可遣候、尤有来小判壱分判之儀も追て及沙汰迄ハ新金
取交請取方渡方両替共ニ無滞可致通用、上納金も可為
同前事
一引替金之儀は小判壱分判之無差別、たとへは皆小判
皆壱判ニて差出候とも引替方之儀は小判七分、壱分
判三分之割合を以取交引替候筈ニ候条、来ル廿八日
ゟ後藤三右衛門役所を始別紙名前之もの共方江差出
引替可申候事
一武家其外共町人江相対ニて申付右名前之もの共方江
差出引替させ候儀も勝手次第ニ候事
一引替可差出小判壱分判共員数相知れ候事ニ候間、貯
置不申段〻引替可申候、若貯置不引替もの相知候ハ
ゝ吟味之上急度可申付候事
右之通書付出候間可得其意候以上
九月
本所壱丁目 後藤三右衛門役所
駿河町 三井組為替御用取扱所
本両替町 十人組為替御用取扱所
本葺屋町 三谷三九郎
上槙町 泉屋吉治郎
室町三丁目 竹原屋又右衛門
金吹町 播摩屋新右衛門
堀留町壱町目 舛屋源四郎
大伝馬町壱丁目 殿村屋佐五平
田所町 井筒屋善治郎
三河町壱丁目 嶋屋吉兵衛
神田旅籠町 石屋庄兵衛
此度吹直被仰付候小判壱分判当月廿日ゟ通用方被仰出
候ニ付、右吹直金之形等相心得居不申候てハ若似金等
を扱相偽致両替候もの有之節之ため、右吹直金支配所
町宿之内両替取引いたし候もの共江可相渡旨を以御渡
有之候、其村〻ニおゐても以後諸向迄取引可致は勿論
ニ候処、右形心得居不申候てハ差支可申儀ニ付、身元
相応之ものは家毎ニ所持罷在取引いたし候節見合無差
支様可致、困窮ニて軒別取持いたし候儀難儀之向〻は
村役人又は高持共之内ニて小判壱枚ツゝ所持いたし尚
又貧村ニて右程ニも行届兼候分は一郡之内最寄之組合
を定所持致、当分吹直金悉行渡内見合差支無之儀可致、
依之右組合等早〻取極其村〻為惣代壱両人ツゝ来ル晦
日限り罷出委細可申立、尤引替金は是迄之小判小粒判
ニて惣代之もの出府之節持参可致候、廻状刻付を以早
〻順達留村ゟ可相返者也
卯九月廿日 吉次郎右衛門印 八条領西方村
新方領外村〻
一文政三辰年丁銀御吹替被仰付候、此節御触書
金銀之儀元文之度吹替之儘ニて小判壱分判は先達て
吹直し被仰付候処、銀之儀も年を経候ニ付打銀焼銀
請銀又は極印相分り兼候も有之候間、此度吹直し被
仰付候両替等是迄之通り相心得無滞可致通用候、尤
右引替日限等之儀は追て可及沙汰候
右之趣国〻江も可触知者也
六月
右之通御書付出候間得其意、廻状村下令請印早〻順達
留り村ゟ可相返もの也
辰七月十二日 吉岡次郎右衛門印 西方村外村〻
蠣(かき)殻(がら)町 銀座
駿河町 三井組為替御用取扱所
本両替町 拾人組為替御用取扱所
同所町 井筒屋善太郎
三河町壱丁目 嶋屋吉兵衛
神田旅籠町壱丁目 石州屋庄兵衛
此度吹直し被仰付候銀之儀、来ル廿日ゟ追〻引替可遣
之、尤有来銀之儀も追〻及沙汰ニ候迄は新銀取交請取
方渡方両様共に無滞可致通用、上納も可為同前事
引替銀之儀は丁銀小玉銀之無差別取交取替可遣候、勿
論打銀焼銀并極印相分兼候分も勝手次第可差出、是又
無差支引替可遣候条来廿日ゟ銀座初メ右名前之もの共
方江差出引替可申事
但丁銀差出し小玉銀引替、又は小玉銀差出し丁銀ニ
引替候儀も勝手次第ニ候事
武家其外共町江相対ニて申付、右名前之者共方江差出
し為引替候儀も勝手次第ニ候事
引替可差出丁銀小玉銀とも員数相知候事ニ候間貯置不
申、段〻引替可申候、若貯置不引替もの相知候ハゝ吟
味之上急度可申付候事
右之趣可被相触候
七月
右之通御書付出候間得其意、廻状村下令請印早〻順達
留り村ゟ可相返もの也
辰七月廿一日 吉岡次郎右衛門印 西方村外村〻
一文政七申年弐朱判目方七分減吹直候旨御触書并通用
日限触
金銀之儀先達て吹直被仰付候得共、弐朱判之儀其儘
被差置候処、年来相立候分ニは手摺等ニて極印文字
も消相分兼紛敷見江候弐朱判も有之趣相聞此度吹直
被仰付候、然処弐朱判目方重キ故平日持運ニも嵩張
粗難儀之旨相聞、其上遠国江遣候ニハ猶更之儀、依
之此度は壱枚ニ付目方七分宛相減吹直し申付候旨、
両替等是迄之通相心得無滞可致通用候、尤引替日限
等之儀追て可及沙汰候
右之趣国〻江も可触知者也
二月
別紙之通御書付出候間写遣し候可得其意、御廻状村
下令請印早〻順達留り村ゟ追て可相返者也
申三月二日 柑本兵五郎役所
武州埼玉郡
西方村外十弐ヶ村
此度吹替被仰付候弐朱判之儀、来ル廿一日より追〻
引替可遣候、尤有来り弐朱判之儀も追て及沙汰候迄
は新弐朱判取交り請取方渡方両替共無滞可致、通用
上納之儀も可為同前事
一引替弐朱判之儀は焼弐朱判并極印相分り兼候分共差
出し次第引替可遣候条、来ル廿一日ゟ銀座を始別紙
名前之者共江差出引替可申事
一武家其外共町人江相対ニて申付、右名前之もの共方
江遣為引替候儀も勝手次第ニ候事
一引替可差出弐朱判員数相知候事ニ候間貯置不申、段
〻引替可申候、若貯置不引替もの相知候ハゝ吟味之
上急度可申付事
右之趣可被相触候
三月
蠣殻町 銀座
金吹町 播摩屋新右衛門
駿河町 為替御用取扱所
堀留町壱丁目 舛屋伝四郎
本両替町 二人組為替御用取扱所
大伝馬町壱丁目 藤村屋佐平治
上槇町 泉屋吉治郎
同所町 井筒屋吉治郎
室町三丁目 竹原文右衛門
別紙之通御書付出候間写遣候条得其意、廻状村下江名
主令請印早〻順達留村ゟ可相返候以上
申三月 柑本兵五郎役所
武州埼玉郡八条領
西方村外十三ヶ村
一文政七申年壱朱判新規御吹立被仰出同通用御日限之
御触
此度世上通用之ため壱朱之分判金新規吹立被仰付候
間、右分判十六を以金壱両之積り、尤銀銭とも為替
小判弐分判弐朱判同様之割合ニ相心得取交無滞可致
通用候
右之趣国〻江も可触知もの也
五月
此度世上通用之ため吹立被仰付候壱朱判之儀、七月
二日ゟ可致通用候、尤先達て相触候通小判弐分判壱
分判弐朱判等を以取交無差別取引為致候条通用差滞
申間敷候事
一壱朱判通用之ため江戸京大坂其外在〻ニて是迄吹直
金銀引替御用勤居候者共江申付引替方為取計候間、
壱朱判望之ものも右引替御用勤居候もの共之内江申
込、古金又は吹直金弐分判弐朱判等を以勝手次第引
替遠国先〻まても通用方差支無之様取計可申事
一壱朱判両替ニ付切賃之儀弐分判壱分判弐朱判同様相
心得取遣可致候事
右之通可被相触候