附伊奈半左衛門様御家来御役人中様右願書江御裏
印被下置事
乍恐以書付御訴訟申上候
一八条領西方村之内高四百八拾七石之場所ニて、溜井
ニ伏候八条領大用水圦之戸開閉先規ゟ仕来候、先年
ハ諸事御役儀等以家別被仰付候、其節ゟ家別四人宛
ニ溜井廻并霞地普請圦橋共ニ相除支配仕来申候、然
処ニ西方村之儀御私領ニ相渡り殊ニ御料所家別御潰
シ被遊、高ニて御役儀等被仰付候、依之霞ゟ右之人
足引不申候ニ付八条領御料所之御支配人田山守右衛
門様遠山四郎右衛門様江先規之通リ人足四人宛ニ御
引被下候様ニ御訴訟仕候得は、溜井近村ニて諸事御
用等勝手ニも罷成候間、八条領御私領方判形取候て
殿様江御訴訟申上候様ニ被仰付候間、任御意ニ御私
領方合点判取揃先殿様江御訴訟申上候所ニ、御僉儀
之上溜井廻り霞地普請圦橋共時〻御奉行様江断致し
四人宛ニ引候様ニ被為仰付候、其以後西方村も御領
所ニ罷成候、溜井廻り霞地普請圦橋共ニ御奉行様御
断申上四人宛ニ引候て相勤申候処ニ、当年西方村落
圦御伏替荒川六右衛門様御奉行ニて被仰付候間、右
之通り人足御引被下候様ニ御断申上候得は、六右衛
門様御意被遊候は溜井廻り霞地普請圦橋共ニ人足四
人迄ニ引候証拠無之候ニ付、此度は右之人足御引不
被下迷惑ニ奉存候、然は霞之過役と罷成候間先規之
通り溜井廻り并霞地普請圦橋共ニ出人足之内ニて一
日ニ人足四人宛ニ以御慈悲ヲ御引被遊被下圦番相勤
候様ニ奉願候以上
元禄拾四年 八条領西方村
巳十一月 年寄治右衛門印
同 喜兵衛印
名主宇右衛門印
同 彦右衛門印
御代官様
右は西方村之儀八条領御料私領用水圦戸開閉并圦番役
相勤候ニ付、前〻ゟ日〻出人足之内ニて溜井廻り并領
内地普請圦橋御普請共ニ四人ツゝ引来り申候、依之年
〻御普請之節は其時之御奉行様江御断申上御引被下候、
然ル処ニ此度荒川六右衛門様証拠無之候由ニて人足御
引不被下候ニ付、西方村ゟ御屋敷江御訴訟申上候得は
右之御吟味之儀御支配様江被仰付候、依之拙者共方江
前〻之儀御僉儀被成、右西方村ゟ御訴訟申上候通り御
領私領用水圦戸開閉杁番役仕候ニ付、先規ゟ人足四人
ツゝ引候儀御料私領共ニ相違無御座候、勿論先年私領
方村〻判形取揃御屋敷江差上ケ置候儀紛無御座候間、
向後前〻之通り御引被下候様ニ被成可被下候、拙者共
村〻惣代ニ判形仕上ケ申候以上
巳十二月 八条領上郷蒲生村
用本源右衛門印
同領下郷立野堀村
用本源右衛門印
右願書裏ニ
一西方村之儀八条領御料私領用水圦戸明立圦番役相勤
候ニ付、瓦曾根村溜井廻り御普請其外領内地普請并
圦橋御普請共ニ出人足之内四人ツゝ前〻之通り引可
被申候以上
元禄拾五 松井平七郎御印
午ノ二月 萩原覚左衛門御印
八条領西方村
名 主
百 姓
右之本紙名主平内方ニ仕舞置候、且又右願書文面
之内ニ田山守右衛門様・遠山四郎右衛門様・荒川
六右衛門様・松井平七郎様・萩原覚左衛門様右何
れも伊奈様御内御家来御役人様方ニて、則御割付
写御裏印抔ニ多分右御名前出有之候
御奉行様御支配様御支配人抔と有之候も則其時〻
御普請御掛りニて御越被成候伊奈様御内御家来御
出役様方ニ御座候
右は八条圦戸開閉圦番役之儀山谷組藤塚組両本高
合四百八拾七石余ニて右圦新開之節ゟ宝暦之頃迄
数年来右組百姓方江申付圦番戸明立相勤罷有、夫
〻人足引等も右両組之内ニて月番ニ相勤候故、領
中差引人足之分は則百姓方江割賦差遣し候処、宝
暦之度勤方等閑之趣領中直勤可仕旨ニて猶其後は
西方村田迎組ニて引請夫〻取極致し相勤候
古来は伊奈半左衛門様御内御家来御役人様方西方
瓦曾根両村〻御越し御普請為御掛りト御用中御止
宿有之、御料所家別役と唱へ人足差出し其外竹木
萱之類諸色一式直勤ニて西方瓦曾根両村御普請最
寄宜敷場所江諸色持寄候ニ付、多分西方村ニ御普
請所多有之故諸色持寄右番人持はこび人足ニ村方
出人足差引ニ相成候処、延宝七未年ゟ西方村之儀
古河御領地ニ相成故、御普請御懸り御役人中様方
当村江御止宿も無之、殊ニ其頃は八条領之内御私
領村〻追〻多分ニ出来候故ニ御座候哉、延宝天和
年号改元之頃より家別役を潰し高役ニて御料私領
村〻直勤仕候得共、先年は御普請之儀も全仮染之
儀ニて有之候由、年増御普請所種〻相嵩候ニ付遠
役村〻ハ直勤行届キ兼候様猶又成行候故、負人足
諸色買入等之儀向〻様〻ニ諸事其外共ニ主法相替
り候