附二重廻堤出来形新古年限不分心得方
同二重廻堤領中組合御普請所之有無
同瓦曾根落杁御普請組合ニ付領中江引合出入心得
方
右弐重廻し堤之儀は、字瓦曾根落圦谷古田領葛西
淵江領八条領三用水路伏越、元荒川水除堤下江右
圦伏込有之候処、古来は圦樋伏替御普請之儀易意
ニ難被仰付故を以、三拾ヶ年又は其余も何れ之御
普請場所も捨置候様子ニて、全右圦数年来御普請
御手入も無之大破罷有候故、昔古ゟ度〻出水年毎
地元西方村ニて水防罷有、依て圦表江築廻し仮染
之土手形チ普請追〻致置候処、弥以圦樋并堤共甚
危難之場所ニ付、寛延二巳年御普請相願二重廻堤
と名附長弐拾間、高壱丈、三尺、馬踏弐間、敷七
間御積り御普請被仰付、右堤出来候得共其後右圦
大破之故を以、大場之悪水西方村内郷惣耕地江夥
敷溢水押出し候始末難儀ニ付、宝暦五年亥正月御
代官小野左太夫様江当村ゟ願出、同年十二月御普
請御役永井太四郎様、岩浅郡二郎様右一条御糺ニ
付始末請書左之通り
乍恐以書付を御願申上候
一埼玉郡八条領西方村名主年寄惣百姓申上候、同領瓦
曾根村悪水落底圦葛西領大用水、并谷古田領五ヶ村
用水伏越シ圦長弐拾四間、八条領用水伏越シ圦長拾
六間都合四拾間圦大破仕候ニ付、元荒川大囲堤欠込
危罷成候ニ付、七ヶ年已前寛延二巳年舟橋安右衛門
様御代官之節堤表仮築留被仰付候間、悪水一滴落シ
可申様無御座候、其儘ニて圦前築留罷成り申候、右
圦大破ニ付先達て瓦曾根村へ御伏替御普請御願くれ
候様ニ度〻申候得共、当春ニ至り候ても如何御座候
哉御伏替も無之難儀至極仕候、依之御願申上候ハ八
条領大用水御通し被遊候節は、葛西大用水并谷古田
用水江押開キ、葛西大用水御通シ被遊候得ハ八条大
用水谷古田用水押開キ、谷古田用水も右ニ准シ用水
悪水は勿論、西方村惣耕地江押開キ去巳年ゟ戌年迄
水腐仕、別て去戌年之儀は水腐皆損之場所も出来仕、
壱人持之百姓共弁米いたし至極困窮仕候、何卒御見
分被為仰付右圦瓦曾根村願之通御伏替早速被為仰付
被下置候共、又は当春御伏替不相成候御儀ニ御座候
ハゝ、右圦上三用水土手ほり割甲蓋御取はなし圦敷
ゟ築留埋立被下置候様、別紙麁絵図を以御願申上候、
右願之通被仰付被下置候得ハ西方村難儀相助り、八
条領葛西領淵江領谷古田領村〻江用水沢山ニ引届キ、
用水悪水相分難有仕合可奉存候、何分ニも御見分被
仰付御勘弁之上当年之難儀御救被下置候様奉願上候
以上
宝暦五年亥正月 埼玉郡八条領西方村
名主 平内
同 利左衛門
同 善太夫
年寄 五左衛門
同 六左衛門
小野左太夫様
御役所
乍恐御尋ニ付以書付を奉申上候
一埼玉郡八条領西方村名主年寄申上候、同領瓦曾根村
悪水落底圦西方村地内ニ伏候右圦大破仕候ニ付、御
普請御役人様江御伏替御普請御願申上候哉と御尋ニ
御座候ニ付左ニ申上候
一右圦之儀瓦曾根村悪水落底圦ニ御座候間、先前よ
り拙者共村方ニてハ御伏替へ御修覆瓦曾根村ニて
御願申上来り候、依之御伏替御修覆之儀何方様江
も西方村ニて御願申上候儀も無御座候、尤大破之
圦上上置繕之儀は用水方御役人様江度〻御願申上
候儀は御座候御事
右之通相違之儀少しも無御座候以上
宝暦五年亥正月 埼玉郡八条領西方村
名主 平内
年寄 五左衛門
同 六左衛門
小野左太夫様
御役所
瓦曾根村持口悪水圦築留之儀、御勘定所ゟ御尋ニ有之
間致吟味可申上旨、只今江戸表ゟ飛脚を以申来候、依
之相尋御用有之間名主不残組頭召連可被出候、此状其
節可被相返候以上
十二月十五日 岩浅郡二郎
永井太四郎
西方村
名主中
差上申一札之事
一埼玉郡八条領瓦曾根村悪水落圦、西方村地内築廻し
堤之儀、何年已前ゟ仕立いか様之分ニて出来候哉此
度御尋ニ付申上候は、瓦曾根村悪水圦之儀は八条領
大用水伏越し、并古荒川堤も伏越し八条領葛西領淵
江領谷古田領大囲水除堤ニ御座候ニ付、右伏越圦大
破ニ付用水御通し被遊候節は西方村惣耕地へ押開、
用水末村ニハ引届ヶ兼、上之割下之割至極難儀仕候、
其上右伏越之圦上危ク御座候ニ付七ヶ年已前舟橋安
右衛門様江御願申上候得は、御吟味之上石井清助様
御懸りニて右荒川表方仮り築廻し被仰付候場所ニ御
座候、右瓦曾根村数年圦修覆御願之儀、不勢(精)ニ仕り
候ニ付西方村水損致難儀仕候、依之当春中小野左太
夫様御役所江御願申上及出入候所、伊原村名主取扱
内済仕候、右大破圦前浚築廻し出来仕候、此度御尋
ニ付申上候は委細之儀は瓦曾根村悪水落圦持口ニ御
座候ニ付、右村へ御尋被下候得ハ乍恐相訳り申候、
依之一札差上申候以上
宝暦五年亥十二月十六日 八条領西方村
名主 平内
同 二郎左衛門
年寄 甚右衛門
同 六左衛門
同 吉右衛門
永井太四郎様
岩浅郡次郎様
右ハ御両人様へ御勘定所より御尋ニ付、西方村被
召出御吟味被成候ニ付、右之書付瓦曾根村孫右衛
門方ニて認差上ヶ申侯ニ付、ひかへ書留置申候、
尤溜井廻り御懸り御普請役様方ニ御座候
右之通宝暦五亥年当村平内方御用留ニ書記有之候
故写之置候、尤願書御糺請書等文面之様子見届ケ
候処、出入引合ニも相成候趣ニ相聞候得共、右一
件中之諸向書留一切無之、委敷儀は相知レ不申候
得共、乍併右之文面ニて推量可有之事
二重廻堤出来形新古年限不分心得方
右二重堤之儀宝暦五亥年諸向文面之様子ニてハ寛
延二年巳春初て御普請被仰付、二重廻し堤出来候
趣ニ相聞候得共、寛延二巳年四月向畑川崎両村ゟ
当村御伝馬差村ニ相成御糺之引合、翌寛延三午三
月御奉行所様江差上候願書文面ニ有之候は、長弐
拾間敷七間高壱丈三尺馬踏弐間仮築廻し御願申上、
先達て度〻御普請被成下候処、去巳秋中長雨出水
ニて抔と申文面も有之候得は、先達て度〻と寛延
三之度申立有之候得は仮染之築廻し古来ゟ有之、
少〻宛之御普請は度〻有之候哉、二重廻堤当時之
形ニ相成候ハ全寛延二巳年ニ大御普請被仰付可有
之と末ミ心得可然と存候
二重廻堤領中組合御普請所之有無
右二重廻堤之儀は古来ゟ之御普請所と相見江、別
て寛延二巳年領中水難囲堤之ため本堤同様ニ御普
請出来形ニ被仰付罷有候処、其後宝暦六子年挾堤
廻堤御普請組合儀ニ付出入有之、右之出入ニ二重
堤之儀別筆文面ニ書載無之候得共、廻堤間数ニ二
重廻堤間数共差加へ、都合組合御普請所ニ相願則
其節済口証文ニ
且下方廻堤百四拾六間之所願方廿七ヶ村ニて六分
五厘相勤、残三分五厘相手八ヶ村江右廿七ヶ村相
加り都合三拾五ヶ村ニて高割合を以相勤候筈
右之通済口証文差上相済、且又当時廻堤計間数改
候得は百廿九間半程有之、二重廻堤共都合百四拾
九間半程ニて少〻増減は其節之打加減ニも可有之
哉ニ候得共、全二重廻堤迄打込候間数之済口ニて、
右二重廻堤組合之場所ニ相違無御座候、且天明七
未春享保三亥春、右場所御普請被仰付組合高書記
出来形帳面可有之処、当時見当り不申末〻右等之
処能〻心得可知事
瓦曾根落圦御普請組合ニ付領中江引合出入心得方
右瓦曾根落圦大破ニ付、元荒川圦表築廻し無策同
様ニて、瓦曾根村ゟ普請組合之儀ニて相懸り候哉、
又は領申ゟ不用之圦可成由を以御普請組合差障り
申懸ヶ及出入候哉、何れ領中と引合宝暦四戌ゟ翌
亥年迄右一件ニ有之候様子、右は宝暦六子年右圦
上挾堤廻堤御普請組合ニ下郷御私領八ヶ村は不入
組趣、地元西方村ゟ廿七ヶ村惣代ニて願出、下郷
私領八ヶ村相手取候出入返答書文面ニ
此度西方村廿七ヶ村ゟ助郷之場所と申上候所は、
去宝暦五亥年瓦曾根村出入ニも御吟味之上、下郷
私領八ヶ村之儀は助合不仕筈ニ土井伊勢守様御役
所ニて御裁許被為仰渡候
抔と申文面も有之候得は、何れ瓦曾根落圦普請組
合之儀ニ付出入有之由、乍併当村ニ右一条之訳ヶ
聢と仕候儀相知レ不申、得と取調置可申候事
（張紙）
「瓦曾根竜入一件可書入自紙三枚」
（寛延二年五月記事省略）