西方村川岸船問屋御運上被仰付事
附川岸畑瓦曾根村江越石ニ相渡置候由来
附川岸畑質地証文当時右田地地守人之事
一御運上永六百文外口永拾八文
右川岸船問屋御運上之儀、先年は無運上ニて数年
来荷物積送り候処、川岸場ニ可取立場所厳重之御
糺有之聢と其年限相知レ不申候得共、凡安永元辰
年之頃諸運上冥加永之類国〻一統厳敷御糺有之儀
ニて其頃ニ引続御取調と相見江、当村川岸御運上
は安永三午年ゟ被仰付御上納仕来り候訳ケ、同四
未年皆済目録ニ御書記有之候、村方江金壱分宛年
〻請取訳ヶ、畑ニ不拘村方堤地先之事故村請ニ相
成居、畑ニ拘り候儀ニハ無之候
川岸場畑瓦曾根村江越石ニ相渡置由来
一右は瓦曾根村之内鳥見中村藤右衛門殿と申方江川
岸場下畑七畝拾五歩先年買渡所持被致有之処、右
藤右衛門殿御公儀様御咎ニて如何之訳ケニ候哉、
欠所被仰付候節右地面其頃西方村江立戻り、然ル
処藤右衛門殿娘おかち殿紀州様江御ちゝ御奉公ニ
相勤居、次第ニ立身之上針治医師之女房ニ罷成紀
州様御長家住居罷有候処、享和之度勝手を以致転
宅今は江戸青山権田原住居渡世致有之、女房古郷
之先祖菩提跡式之儀を相歎キ村方ニても夫〻田面
高拾石余取持所持仕候折柄、西方村川岸場下畑之
儀も先年所持有之縁を以藤右衛門殿跡式ヲ文治郎
殿ト名付、おかち殿并同人妹長右衛門新田多七殿
女房両人ニて丹誠を以金子調達、右畑又候買請先
年ゟ無運上之川岸場畑ニて、世話人之儀は瓦曾根
村中村新六殿引請、川岸賃取立其外西方村江畑御
年貢諸上納物等其上役料とも見込金壱分ツゝ年〻
取次罷有、其外川岸賃上り高之内三ツ割ニ致し江
戸医師女房おかち殿相続寿泰殿江壱ツ、長右衛門
新田多七殿江壱ツ、世話人新六殿江壱ツ年〻三人
江取訳ヶ候処、安永之度前〻有来候西方村川岸場
畑ニ並テ間近く瓦曾根村持ニて上之川岸と唱ひ川
岸場壱ヶ所取立有之砌り、右新六殿同村方と出入
引合数日江戸詰罷有候、其節諸入用も夥敷相掛り、
勿論西方村も引合ニ江戸詰仕候間諸雑用西方村ニ
ても相懸ケ候得共、江戸寿泰殿并長右衛門新田多
七殿両人は一向出入入用出金不申、新六殿右両人
引請多分出金仕候間、右入用ニ差引出入熟談相済
候後は上川岸、下川岸と名付上下打込一手ニ請負
人を取極、上徳之分は瓦曾根村江六分、下川岸世
話人新六殿江四分之割合を以新六殿方江右四分請
取候金子之内、西方村江安永之度ゟ御運上永六百
十八文外永弐百五十文納入用ニ相添、都合永八百
六拾八文ツゝ西方村役人江相納則御上納ニ相成候、
然ル上は西方村ニて御運上永六百拾八文納入用ニ
永弐百五十文請取候分は年〻村益ニ致来り候、其
外先年ゟ西方村百姓長左衛門方ニて、右畑御年貢
諸役一式見込相勤呉候積りを以金壱分宛年〻別段
ニ請取申候、其余は新六殿持限りニ致置弥寛政之
初頃長右衛門新田多七殿持之分は新六殿江譲請ニ
取極候由、又江戸寿泰殿持之分は文化之度至金子
壱両宛右世話人新六殿ゟ差出遣し候趣ニ御座候
一鳥見藤右衛門殿娘おかち殿医師女房ニ罷成江戸住
居罷有渡世致候処、相続実子寿泰と申成長之後瓦
曾根村五郎右衛門殿娘江戸御屋敷御奉公ニ罷出相
勤候内、殊外厚くおかち殿諸世話致し遣し候縁を
以、終に寿泰殿江娶合睦敷年月送り候内男子両人
出生ニて、兄は寿健ト申弟は亀松ト申両人共繁昌
罷有候ニ付、右川岸畑西方村ゟ相渡証文は寿泰殿
之相続ニ代〻相伝納り有之事
一五郎右衛門殿男子弐人女子弐人有之内、女子壱人
は寿泰殿女房ニ相成残壱人は西方村閻魔堂平右衛
門殿女房ニ相成、男子壱人は二代目五郎右衛門家
督相続ニ罷有候処、女子壱人短命ニして相果、五
郎右衛門次男兄嫁江入婦ニ相成相続仕、則男子壱
人出生有之候て治郎平と名付、依て兄之女子は江
戸寿泰殿女房自身之伯母之儀為引取成長迄世話致
し遣候
一鳥見藤右衛門殿所縁之者ニて藤屋弥右衛門と申、
江戸市ケ谷ニ住居仕候処、年来病身老年ニおよひ
瓦曾根村藤右衛門殿跡式文治郎殿方江引込候得共、
介抱不行届候ニ付大道出生ニて越ヶ谷宿森田兵左
衛門殿取立、瓦曾根村ニ住居致候半助と申貞実之
仁ニ見請候ニ付、右老人為介抱相願実意之取計万
端行届候者故文治郎殿跡式地面家財共諸親類一統
相願、年来仕守仕候内半助殿男子壱人は三左衛門
と申、腹替り弟七之助と申男子壱人有之候得は、
寿泰殿夫婦共ニ半助殿親子と朝暮ニ頼母敷思ひ、
七之助幼年之頃ゟも寿泰殿引取世話致呉候処、二
代目五郎右衛門殿娘も同様成人いたし候得は七之
助ニ娶合五郎右衛門跡式相続致可申との事ニて、
殊ニ寿泰殿二男亀松を見立後〻は文治郎之跡式并
五郎右衛門家名両家を相続致可申とて亀松殿を引
取置候得共、同人儀は成人して武家を好ミ江戸表
江立戻り本田玄達殿江養子ニ罷成候、且五郎右衛
門屋敷住居は元蔵屋敷ニて有之候得は勝手を以往
還筋江家作補理茶屋渡世ニて、中村藤右衛門殿跡
文治郎殿名跡を片取中屋五郎右衛門と名付溜井見
廻り相勤、殊ニ文治郎殿跡式仕守仕候為地面拾石
余并西方村川岸畑之分共付添、当時五郎右衛門殿
仕守仕居候事共委細ニ実書記ス
「一文(（張紙）)治郎殿儀は何れ之幼名ニて候哉、又は瓦曾根
家作井地面之名目迄之家名ニ御座候哉
一往古西方村ゟ相渡候古証文安永二巳年川岸場出
入之節、新六多助殿江預り候由、然ル処其後新
六殿方出火之節右証文焼失候由、同人ゟ承り伝
置候
「何年(（朱書）)出火ニ候哉」
入置申証文之事
下畑七畝拾五歩
右西方村仁左衛門畑永代売渡し古来取持候処ニ其元拙
者親ニ忠孝致候ニ付、親死去いたし候砌ニ貴殿江譲り
被申候所ニ、手前不如意ニ付其許江相対ニて今辰年迄
拙者所持致候、然共親藤右衛門譲置候畑ニ有之間、自
今以後其元ニ取持可被成候、尤西方村仁左衛門方ゟ取
置候証文指添遣し申候、然上は年〻御年貢之儀は其許
ニて御済可被成候、右畑ニ付何方よりも構申もの無御
座候、若六ヶ敷儀出来候ハゝ加判之者共申分ケ少も御
苦労懸ケ申間敷候、為後日仍如件
正徳二年辰六月廿四日 八条領瓦曾根村
藤右衛門印
同領西方村
藤左衛門印
七郎左衛門殿
相渡申質物田地証文之事
下畑七畝拾五歩 御水帳面也
右は先年藤兵衛殿ゟ譲貰我等所持致来候八条領西方村
之田地七畝拾五歩之所、諸事払方ニ詰金子七両只今慥
ニ受取、先地主本証文并藤兵衛殿ゟ譲被下候証文共ニ
指添質物ニ相渡申所実正也、然ル上は右之田地ニ掛り
候御年貢諸役、入目等貴殿方ニて御勤可被成候、年季
之儀は卯十二月ゟ已ノ十二月迄中弐ヶ年季ニ相定相渡
申上候、諸親類縁者ハ不及申脇より少も構申もの無御
座候、若六ヶ敷義申もの御座候ハゝ拙者共何方迄も罷
出申訳仕貴殿江少も御苦労懸申間敷候、年季明已ノ十
二月中本金七両相済右之田地請可申候、若請申事不罷
成候ハゝ流申候間貴殿永〻所持被成候共、又は何方江
何程之質物ニ御渡被成候共少も構無御座候、此田地ニ
付御年貢未進御拝借ハ不及申借金高入一切無御座候、
為後日加判之田地質物証文仍て如件
享保八年卯ノ十二月 八条領瓦曾根村
地主 孫 六
同領西方村
先地主 長左衛門
清左衛門
年寄 長左衛門
名主 藤右衛門
藤右衛門殿
後 家 殿
入置申証文之事
田畑合弐反弐畝拾弐歩
享保八年卯五月 八条領瓦曾根村
田地主 太郎左衛門
外加判人 八 人
当村伝右衛門殿
質物ニ相渡申田地証文之事
上中下〻田畑合壱反七畝五歩
享保廿年卯ノ十二月 八条領瓦曾根村
田地主 金 七
外加判人 七 人
同村 伝右衛門殿
相渡申質物田地証文之事
下〻田壱反九畝六歩
享保十八年丑十二月 越ヶ谷町
田地主 安左衛門
外加判人 九 人
伝右衛門殿
質物ニ相渡申田地証文之事
田畑合五反七畝拾九歩
延享元年子十二月 武州八条領瓦曾根村
田地主 孫右衛門
外加判人 六 人
弥右衛門殿
請負申田地家守証文之事
上中下田畑合五反八畝廿三歩
去子暮迄彦左衛門家守致候地所
上中下田畑合五反七畝拾九歩
去子暮孫右衛門方ゟ質物ニ入候地所
田畑合壱町壱反六畝拾弐歩
此地所之内半七・孫六住所ハ貴殿方ニて御支配被
成、地代勘定共〻拙者方ゟ相構無御座候事
此小作入附 米四拾俵壱斗八升
金壱分ト銭三十文 但四斗入
武州八条領瓦曾根村
延享二年酉正月日家守請負人 孫 右 衛 門
外 加 判 人 弐 人
弥右衛門殿
借用申金子之事
一金五両也
右は金子無拠要用御座候ニ付貴殿江御無心を以猶借用
申処実正也、何時成共御入用次第急度返済可致候、仍
て如件
明和元年申十二月 中 村 寿 泰印
中村新六殿
御約束之儀ハ壱ヶ年ニ付金三分宛返済可申事
借用申金子之事
一金拾両也
右之金子無拠要用ニ付借用申処実正也、返済之儀ハ来
十二月迄ニ元利共無相違返済可仕候、為後日借用証文
仍て如件
明和六年丑三月 藤屋 弥 右 衛 門
中村新六殿
是ハ手形うつし今度茂右衛門へ相渡し新六相返し
受取を取置可申事 天明三年八月廿三日
川岸出入年限并心得書覚
此間は御苦労千万ニ奉存候、昨日は柳屋・足立屋取扱
申度と存相手方宿共双方掛合見候所、取扱之筋不相済
存候、両宿了簡は五分〳〵程取扱立入候得共孫右衛門
方ニて承知不仕候ニ付、先取扱不相済積りニ相成、急
ニ今日参上仕候ハ古来之書物随分古キ証古等ニも可相
成分ハ御吟味被成御見江可被下候様彦左衛門様も被申、
宿文右衛門方ゟ此旨参上仕候
随分古キ控壱枚紙ニ書候もの御見セ被下候、手前被記
候は用立不申候、毎方留帳ハ無御座候哉何れニても一
形証古御座候得は相立申事ニ候、享保十三年ニ御座候
ハゝ申年ニ可有御座候筈、如何之事ニて亥年と有之哉
喜兵衛出入之時〻古キ書付ハ無御座候哉、まつくろな
冂凵(（ママ）)それかよく御座候御見せ可被下候、此帳之外ニ別
ニ壱冊有之候、御見せ可被下候、随分古キ帳面御座候
ハゝ御見せ可被下候、西方村ゟ之畑金受取之書付壱枚
御見せ可被下候、畑古証文壱通并請取壱枚其外出入書
物控新六多助両預り申候、此度出入相済候上御返可申
候以上
巳二月 新 六
多 助
寿泰様
右之通田地証文写川岸出入年限心得書之品〻瓦曾根村
中屋五郎右衛門方ニ控有之間写置候、尤田地証文之儀
は反畝歩年号田地主質地請取主名前計略書ニ写置候
一川岸出入年限安永二巳年と相見江候
一右川岸畑当時支配人瓦曾根村新六殿引請諸事世話
いたし、右畑添松土手際ニて柳原ニ相成分、中屋
五郎右衛門殿引請世話いたし罷有候