附領〻圦番直勤仕候ニ付番小屋相建事
差上申一札之事
一八条・谷古田・西葛西・淵江・岩槻・新方・越ヶ谷
七ヶ領組合御普請所、用悪水溜井中土手並木伐採之
儀ニ付、去卯年西方村ゟ瓦曾根村江相懸り及出入候
処、御吟味之上地敷相分り有之候土手並木ヲ一円ニ
瓦曾根村差配致シ候由ハ仕来ニても不宜候間、以来
村限り之進退と相心得可申旨同十月廿七日御裁許有
之候ニ付、御普請所も村限りニ差配致度段西方村申
立猶又瓦曾根村を相手取御訴申上候処、瓦曾根村ニ
てハ溜井廻り御普請所ハ古来ゟ右村ニて致差配来り
候処、今更西方村可差障謂無之由申争ひ候ニ付、再
応御吟味之上左之通り被仰渡候
一八条外六ヶ領組合用悪水溜井御普請所村限り差配致
度段西方村申立候ヘハ、年来瓦曾根村引請差配致来
り領中村〻一同得心ニて是迄差支無之、先出入御裁
許ニ村限り進退ニ被仰候義ハ土手並木之義ニて、御
普請所之義ハ別段之義殊ニ右場所ハ御普請役中定御
掛り場ニ候上ハ御普請仕立方ニ付以来差支も無之候
ハゝ御掛り御普請役中江申立御差図可請ハ格別、今
般出訴之趣ハ不被及御沙汰ニ段被仰渡候
右被仰渡候趣一同承知奉畏候、先達て御吟味ニ付被
召出候領中村〻之者共江も其旨可申通段被仰渡、是
又奉承知候、若シ相背候ハゝ御科可被仰付候、仍て
御請証文差上申所如件
天明四年辰ノ二月十八日
布施弥市郎御代官所
武州埼玉郡西方村
訴訟人 名主 茂右衛門
同 平 内
同 利左衛門
年寄 林右衛門
飯塚伊兵衛御代官所
同州同郡瓦曾根村
相手 名主 中村彦左衛門
年寄 孫 左 衛 門
御奉行所
一御掛り御奉行桑原伊予守様、御留役菅谷弥五郎様
御懸りニて御吟味ニ御座候
一右出入御鳥見様江御訴申上候は、先出入地敷限り
進退ニ御裁許被仰付候ニ付、溜井御用向当村方江
被仰付段願書を以御訴、則御聞済相成候由、然ル
共書物一切無之
一右出入願書返答書其外一件書物并御吟味中日記も
書留可有之処、一向書物無之候
一右出入之儀去卯年松木伐採出入卯十月廿七日御裁
許ニ相成候故、引続去ル卯之暮ゟ瓦曾根村相手取
及出入候様相見江候、勿論用悪水組合七ヶ領江溜
井見廻り圦番并御普請仕立共一式惣代西方村江相
対可仕旨、領〻触次中ゟ七ヶ領共西方村江相対頼
証文請取、尤当村方ゟも夫〻領中江益相付候主法
を以其上諸事差支無之相勤可申趣為取替、右領〻
江一札相渡置候得共、右出入御裁許被仰付左之通
り相済申候上は何様相対議定為取替候ても反故ニ
て、尤其節領〻被為取替本紙は名主平内方ニ可有
之、控下書は弥右衛門手帳ニ明細ニ写有之仕舞置
候事
一右出入中七ヶ領村〻之内ニも種〻と相成、瓦曾根
村江諸事相対頼証文差入候も有之、又は西方村江
八条圦番之儀ニ付出入ケ間敷儀申懸ケ候村〻も有
之候て中〻一村持限之出入と違、七ヶ領御普請所
江拘り候出入ニて兎角村〻之気請損益を考、又は
親類内縁之儀理合ニて双方江向〻ニ身片付候儀も
有之故、七ヶ領一手ニ取入候儀出来兼候儀間〻有
之事
一右出入辰二月十八日御裁許相済候後、猶又領〻村
〻ニて溜井見廻り圦番并圦戸開閉共領〻惣代共出
張直勤ニ可仕趣ニ付、葛西用水圦上江番小屋相建
右領〻ゟ被相頼、西方村百姓重蔵儀罷出番小屋仕
守仕候処、右番小屋丈夫ニ出来候由ニて、御普請
御役人中様御糺し之節左之通り領〻惣代中ゟ申立
候書付下書弥右衛門方ニ仕舞有之候
一武州埼玉郡瓦曾根溜井七ヶ領用悪水圦番之儀、是迄
年〻相対を以瓦曾根村江差配相頼ミ来り候処、当春
右圦番等引請差配仕度儀西方村申争溜井及出入領〻
難儀仕候間、当年ゟ領〻直勤仕度段先達て奉願上候
処、此度瓦曾根村ゟ是迄仕来り之通り圦番之儀同村
五郎右衛門江為引請、圦戸開閉人足之儀も右村ニて
仕度段相願候ニ付、私共被召呼御吟味ニ御座候
此段圦番圦戸開閉共瓦曾根村ニて古来ゟ之仕来り
抔と申上候儀難心得奉存候、右躰溜井附村方ニて
其村持限之様ニ相心得七ヶ領溜井之趣意相破候ニ
付、当年ゟ右圦番之儀も領〻ゟ番小屋相建村〻ゟ
惣代取極メ直〻相勤度奉願上候義ニ御座候処、瓦
曾根村ニてハ圦番之儀は賃銭請取相対ニて仕候儀
ニ候得共、同村五郎右衛門年来仕来り勿論圦戸開
閉人足之儀は是迄無給ニて村役ニ仕来り候段申立、
領〻勝手ニは難相成旨瓦曾根村ゟ申上候由被仰聞
候得共、圦番圦戸開閉は別段ニ仕候義ニ無之、圦
番并圦戸開閉共一式打込圦番給と唱賃銭差出相願
置候儀ニ御座候間、当年ゟ領〻勝手ニ付直勤仕度
段奉願上候儀ニ御座候、然所圦戸開閉人足無給ニ
て村役ニ差出候仕来抔と偽申上義猶以難心得奉存
候、七ヶ領溜井ニ御座候処右躰溜井附村ニて我儘
相募候てハ弥以私共難捨置候間、何分領〻願之通
直勤被仰付被下候様仕度奉存候、然ル上は用水御
差引中番人附置私共番小屋江相詰メ開閉人足其外
何ニても御差支無之様出情可仕候
一圦番并圦戸開閉共、領〻直勤仕候様依之番小屋之儀
奉願上候処、領〻直勤之積りニ候ハゝ番小屋之儀手
軽ク溜井最寄江相建、私共相詰差支無之様可仕旨先
達て被仰渡候所へ、西葛西領圦上江居宅同様手重ニ
番小屋相建候段御吟味ニ御座候
此段居宅同様相建候儀は、当夏中大風雨等之節は
菰張等ニてハ吹破仕、詰居候儀も難相成差支ニ相
成候間、九尺弐間ニ居宅同様相建候得共、前書手
重之段御差当を請奉恐入候、併御普請其外何ニて
も御差障ニ相成候ハゝ早速取払少も御差支無之様
可仕候
右之通御吟味ニ付奉申上候処少も相違無御座候以上
辰五月 伊奈半左衛門御代官所
武州葛飾郡西葛西領
亀有村
惣代 弥 平 治
同人御代官所
同国足立郡淵江領
大谷田村
惣代 儀 左 衛 門
布施弥市郎御代官所
同国埼玉郡新方領
岩槻領 越ケ谷領 新方領
大吉村
惣代 茂 右 衛 門
飯塚伊兵衛御代官所
同国埼玉郡八条領
蒲生村
惣代 久 兵 衛
同人御代官所
同国足立郡谷古田領
篠葉村
惣代 織 右 衛 門
御役人中様
右番小屋天明六午年大出水之砌り圦上切所ニ相成、
小屋場押流レ、其後は瓦曾根村江及相対候由ニて
直勤も相止番小屋其儘相建不申候事
右番小屋建方之節は、地元西方村ゟ葛西御懸り御
鳥見井上岩治郎様江辰春場所絵図面を以相願、右
願之通り御聞済被置候段被仰渡候、且流失相成候
節迚も村方一統大出水、其外堤数ケ所切所欠所并ヶ
流失相成候品〻一同御訴申上置候