附水防諸色置場小屋願案文事
同同断建方ニ付御拝借願追訴案文之事
同瓦曾根村へ入置候議定書付取替せ之事
同置場小屋取締願追訴案文之事
同御請書之事
同寛政三亥水防ニ付灰代金此節返金相済請取書取
置事
同村方惣躰取締議定一札惣連印致置事
同享和二戌年出水ニ付囲明俵外ニ候得共諸色人足
遣方御切手
同文化三寅年渇水ニ付、松圦前〆切囲明俵遣方御
切手
同文化四卯年谷古田用水圦上急破ニ付囲明俵遣方
御切手
同文政六未年出水ニ付囲明俵遣方御切手
同文政六未年猶又出水之砌囲明俵遣方御切手
同文政七申年出水ニ付囲明俵遣方御切手
乍恐以書付奉願上候
一武州埼玉郡西方村役人惣代名主平内并惣百姓惣代年
寄山治郎奉申上候、当村之儀は高千五百石余有之字
瓦曾根溜井元荒川附之村方ニて、堤長延千百五拾間
余取巻候場所之内、字葛西領淵江領大用水圦樋壱ヶ
所并八条領谷古田領大用水圦弐ヶ所都合三ヶ所、其
外定式御普請所数ヶ所有之候村方ニて出水急水之砌
は前〻ゟ溜井差配村同様水防出情致来候所、天明六
午年大出水之砌は堤一面越所ニ相成、差配瓦曾根村
は不及申地元西方村之者共昼夜男女生死不厭隣村持
寄之諸色のみ中〻引足不申、銘〻諸色持出其上地元
村方堤土手居屋敷竹木之無差別夥敷伐出し、相防候
得共、手広之場所故諸色遣切洩所洗所追〻大破ニ相
成、溜井堤之内ニて大切所三ヶ所葛西大用水杁壱ヶ
所、引続て下溜井元荒川囲堤之内ニて悪水圦樋弐ヶ
所堤大切所五ヶ所、都て千百五拾間余之場所之内無
難之場所は纔ニ有之候ニ付、翌未春御普請被仰付古
形之通丈夫ニ皆出来冥加至極難有仕合存奉候、依之
年〻御料私領組合村〻申合堤減低之場所、又は水当
危場所は腹付上置等丈夫ニ取繕等仕候得共、大場之
儀ニ付年〻出水度毎多分洩所水穴出来、地元村方故
諸色夥敷持出取繕罷有候処、近年大出水多既ニ寛政
三亥年享和二戌年両年之儀ハ格別之大満水ニて、村
役人は不及申惣百姓一同銘〻明俵縄等多分持出し相
防候得共、銘〻持出し候分は不残遣切隣村ゟ明俵縄
等買揚差出し危場所昼夜ニ不限出情相防キ罷有候内、
漸〻水も干潟ニ罷成水難相遁広太之御益と乍恐奉存
候、前書申上候通当村溜井水元并元荒川大囲堤大難
場所、丈夫ニ相保候得は縦権現堂川通り堤押切所ニ
相成候共、葛西領八条領谷古田領淵江領并御府内近
所迄数ヶ村之水難相遁候場所、隣村等ゟ明俵買揚候
てハ急水之節及延引ニ間ニ合不申、自ら堤切所洩所
出来水押ニ罷成、御定免之村〻破免御願申上候儀も
可有之と何共欺敷、依之地元村之儀ニ付為冥加明俵
壱万俵縄弐千房差出し囲置、急水満水之節早速持出
出情仕相防候ハゝ水難請候儀は乍恐有之間敷と奉存
候得共、村役人宅江囲置候てハ他村同様相隔依之溜
井最寄江梁間之間桁行六間之小屋相建明俵縄等詰置
申度奉存候、勿論大出水之節縄俵等遣払候ハゝ夫丈
之縄俵早速相調詰戻置可申候、尤出水無之年も右諸
色相改朽損不用之分は取替詰戻年〻御改奉請候様仕
度存奉候得共、右小屋相建候迄は困窮之百姓共故自
力ニ難及、不顧恐ヲも今般重キ御願奉申上候、右之
逸〻被為聞召訳何卒格別之御慈悲を以右小屋御材木
諸色代永被下置候様偏ニ奉願上候、右願之通被仰付
被下置候ハゝ領〻村〻大勢之百姓共永久水難相遁、
広太之御憐愍と難有仕合奉存候以上
文化元子七月 埼玉郡西方村
名主 平 内
惣百姓惣代
関東川〻定御懸り 年寄 山 治 郎
御役所
前書之通り御支配野口辰之助様御役所江奉願上御取
上之上、関東川〻定御り鈴木紋三郎様江御差出ニ罷
成、段〻御吟味之上御入用ニ拘候儀は決て難被仰付
段逐一御利解被遊聞候ニ付、則左之通追訴差出し申候
乍恐以書付奉願上候
一武州埼玉郡西方村名主平内、年寄山治郎先達て御願
奉申上候は、字瓦曾根溜井地内当村之内大用水圦三
ヶ所、引続て悪水圦弐ヶ所并堤長千百五拾間余有之
候場所、急水満水之節相防候囲為土俵明俵壱万俵、
縄弐千房貯置度存奉候得共置場無之難儀仕候ニ付、
右置場小屋御入用を以被仰付候様御願申上候処、御
入用之筋ニは決て不相成候旨被仰聞承知奉畏、依之
帰村日延御願申上村方惣百姓とも一同申聞候処、御
入用之儀重キ御願ニて不相叶候儀ニ御座候ハゝ百姓
ニて小屋相仕立可申候得共、近年困窮相嵩百姓役自
力ニては迚も不相叶、殊ニ隔ち候場所越ヶ谷宿吉川
宿通路之道筋ニ候得は、御 公儀様御威光不相添候
てハ土俵等紛失致候儀も離計奉存候間、何卒右小屋
相建候程之御手当年賦返納御拝借被仰付被下置候共、
又は当村内ニ有来候字松土手ニ松並木有之候問、右
小屋相建候分被下置度右両様之内奉願上候、勿論朽
木根通り立枯等之節ハ、是迄御支配御役所江御届ヶ
申上御見分奉請村請御払致来候得共、前条申上候通
小屋相建候分ニ被下置度、何分右両様之内御聞済被
成下置候ハゝ広太之御救と一同難有仕合存奉候以上
文化元子八月廿二日 埼玉郡西方村
名主 平 内
年寄 山 治 郎
関東川〻定御掛り
御役所
右之通追訴差出候処、種〻御吟味之上御拝借も御勘
弁之上被仰付、取締之儀何れ御仕法可有之候得共、
障り村等有之候ては不相成、殊ニ瓦曾根村之儀は隣
村之事前〻出入等も有之候村方ニ候得は、右村呼出
有無相糺其上勘弁可致旨被仰渡、則右村御呼出差障
有無ヲ御尋ニ付、瓦曾根村申上候は是迄之通り差配
不抱候儀ニ御座候得は、右村江明俵置場小屋被仰付
候ても不苦、乍併西方村と得と議定致以書付を可申
上旨御答日延御猶予相願、依之右日延中議定書付趣
意掛合候処、左之文面聊相振候ても瓦曾根村不承知
申募、西方村願ニ差障新規之儀は容易ニ難被仰付由
ニ相見へ候ニ付、当村惣代両人格外考弁之上ニて取
計、永未村内安泰之助を深く含ミ漢ノ韓信行ひニ習
て計置事後ニて可知
西方村ゟ瓦曾根村江入置候議定一札左之通猶又右一
札丸写シ致左之通奥書井印形致シ西方村江請取置候
入置申一札之事
一此度私共村方村役人并惣百姓一統相談之上、村内地
先元荒川通り出水防方為手当明俵壱万俵囲置度存付、
依之右囲俵詰置小屋奉願上候、右ハ元荒川とハ乍申
瓦曾根溜井堤通り江も拘り候儀ニて、溜井進退差配
瓦曾根村と差縺ニても出来右様存付候哉と御尋之節、
溜井差配瓦曾根村役人方江も右之段掛け合候旨御答
申上候ニ付、鈴木門三郎様従御役所被召出差障之有
無御尋ニ御座候、右御願ニ付其後不依何事ニ向後指
纏無之ため左ニ義定致置候事
一溜井廻り定式御普請仕立方一式、外諸御用向従往昔
其村方ニて取計イ被成来り候通、弥今後其御村方役
人中之差配を受ヶ相勤メ、何ニても差紛不足申間敷候事
一水防方之儀従古来其村方ニて囲置候、諸色不足之処
ハ近村〻江諸色宛触村方取計被成来候通り、古例相
用ひ何れ差図ニ随ひ人足諸色差出し出情相防可申事
一今般願上候明俵囲置小屋被仰付候上は、右囲置俵出
し入れ取締方等其村方役人一同立会取計可申候事
一明俵囲小屋当村方江被仰付候迚も、諸事古例相嵩其
村方ニて従古来之取計方何ニても辞儀ニ随ひ違背い
たし申間敷事
右之通り村方一統納得之上儀定一札入置申候上は、重
て違変不仕堅ク相守可申候、為後鑑惣村役人一統連印
一札入置申処仍て如件
文化元子九月 野口辰之助御代官所
西方村
名主 平 内
茂右衛門
弥右衛門
利左衛門
年寄 山 治 郎
同 沢右衛門
同 仁左衛門
同 九 平 治
同 藤 蔵
百姓代 伝左衛門
同 長左衛門
同 勘 六
万年佐左衛門知行所同村
名主 幸 八
年寄 利左衛門
百姓代 喜石衛門
瓦曾根村
名主 中村彦左衛門殿
其村 村役人中
前書之通り被指入候段致承知候、然ル上は以来共実
意を以取計、不依何事ニ睦間敷可致候、依之為後日
写奥印致相渡置申処如件
早川八郎左衛門御代官所
瓦曾根村
名主 中村彦左衛門印
定年寄 孫左衛門印
百姓代兼 八右衛門印
西方村
名主
年寄 中
乍恐以書付奉申上候
一早川八郎左衛門御代官所武州埼玉郡瓦曾根村差配溜
井見守役兼帯名主中村彦左衛門乍恐奉申上候、同郡
西方村役人共ゟ今般元荒川通り出水防方之手当明俵
囲置候ニ付、詰置場御願奉申上候処、元荒川溜井内
之儀は瓦曾根村進退差配之場所ニ付、差縺等ニても
出来候てハ不宜、兼て西方村役入方ゟ懸合候哉否歟、
右村願之通り被仰付候ても差障無之哉御尋ニ御座候、
此段兼て右村役人方ゟ申聞候間、是迄出水之度〻取
計防留来候古例を用、右明俵囲置小屋被為仰付候て
も諸事任先例差配村之差図を請、出情可仕旨議定一
札取置申候上は差障無御座候、依之一札写奉差上置
候、且右村方江願通り明俵囲小屋被仰付候上は、壱
ヶ所ニても差支御座有間敷哉ニ奉存候、尤是迄水防
方手当私村方ニても明俵杭木等囲置、右を以相防其
余は西方村を始メ近村之人足諸色宛触持寄為仕来り
申候、切所水穴洩所等築留方ハ手馴候人足相懸ヶ不
申、常躰之人足ニ為致候てハ甚タ手戻等出来可申儀
も有之候得は、任古例候様其上差配村是迄之通り取
計方背不申様乍恐被仰付候得は、明俵囲置小屋西方
村江被為仰付候ても故障之儀無御座候、依之乍恐以
書付御答奉申上候以上
文化元子九月四日
早川八郎左衛門御代官所
武州埼玉郡瓦曾根村
溜井見守役兼帯
名主 中村彦左衛門
関東川〻定御掛り
御代官所
前書之通り瓦曾根村ゟ書付并西方村ゟ入置候議定一
札写し相添御役所江差出候ニ付、右瓦曾根村御糺相
済然ル上は隣村瓦曾根村と差纏等無之候得共、右西
方村申立候御拝借井松木迚も御入用ニ相響候間、執
ニも小前江得と申談一色自普請之積りを以相願候様
種〻御利解被仰聞、猶又日延帰村仕小前一同相談之
上差上候追訴左之通り
乍恐以書付奉申上候
一武州埼玉郡西方村惣百姓代名主平内年寄山治郎奉申
上候、当村地内溜井廻り葛西用水八条用水谷古田用
水杁樋三ヶ所、引続悪水圦弐ヶ所并堤通出水之節為
防方明俵縄等囲置度候得共置場無之ニ付、右小屋御
入用を以被仰付被下置度旨再応奉願上候処、被仰聞
候は御入用ニ拘り候儀は外〻之響ニも相成候事故、
容易ニ難被仰付間百姓役を以右小屋相建候ハゝ、取
締之儀は可被仰付哉之旨情〻御利解被仰聞、一同難
有承知奉畏候得共、私共両人ニてハ右小屋迄百姓役
を以相建候儀御請相成かたく、依之一先帰村御日延
奉願上、右御利解之趣村方惣百姓共江得と申聞候処、
近年困窮打続殊ニ米穀直段等も近年ニ稀成下直ニ候
得は当時入用相掛り候儀、尚又追〻修復等も出来可
申儀ニ付、小屋相建候迄は行届キ兼難渋之段申之候
得共、当村計りニ不限領〻村〻右場之助ニも相成事
故得と利解申聞、漸〻惣百姓一同納得仕候得共、前
書奉申上候通難渋之年柄ニ御座候得は、右小屋之儀
村役人共引請其外重立候百姓共ニも夫〻助合為致相
建可申候、且明俵縄之儀は小屋出来次第追〻詰置御
見分奉請度存奉候間此段御聞済奉願上候、尤小屋建
方之儀は其場所ニ順シ相建可申候、勿論右場所之儀
は往来之繁キ御座候ニ付、通路之者共其外何ニても
猥成儀出来不申様御勘弁之御慈悲を以、右取締之儀
は幾重ニも御上様より被仰付被下置候ハゝ一同挙て
難有仕合ニ奉存候以上
文化元子九月十六日 野口辰之助御代官所
武州埼玉郡西方村
惣百姓惣代
名主 平 内
同 山 治 郎
関東川〻定掛り
御役所
前書之通り差上候処御聞済ニ相成、御伺之上左之通
り被仰渡則御請証文左ニ
差上申御請書之事
一武州埼玉郡西方村地内水防之儀、一躰元荒川付ニ有
之村方千五百石余之村方ニて、葛西用水路瓦曾根溜
井縁ゟ元荒川通堤長延千百五拾間之場所、年〻水防
入用之諸色村役人共宅江囲置候てハ、他村同様相隔
り出水急破等之砌間ニ合兼、自ら切所浅所等出来致
候ニ付、以来は西方村内瓦曾根溜井堤内江梁間三問
桁行六間之小屋取建、右江明俵縄等詰置候ハゝ水防
弁理宜行届可申儀ニ付、小屋場建方入用之儀は御入
用相願候処、被仰聞候は右躰小屋場之儀は何れ之場
所も自普請を以建来候間、外〻之響ニも相成御取上
ヶ難成願筋之旨、勿論小屋場入用は纔之儀ニ候得共、
村普請ニ仕立候てハ取締方行届兼候ニ付無是悲御入
用ニ相願候得共、右容易ニ難相成筋之旨御利解奉承
知候、左候ハゝ聊ニても拝借被仰付候賦又は堤通ニ
有之候松木被下置候様奉願候処、是以同様之儀何れ
御入用筋江拘り儀ニてハ決て難相成、左程存込候ハ
ゝ小屋場を自普請ニ相仕立候儀は外ニ差障等無御座
候得は難相成儀ニも無之段、再応御利解被仰聞候ニ
付、村中熟談之上自普請ニ仕度旨申上候ニ付、地所
之儀堤内畑地江拘り候ニ付、鋪地引等之儀御糺ニ御
座候処、右は村方ニて弁納仕決て引方等不相願一式
自普請之積り申立、明俵壱万俵縄三千房余詰置キ出
水之度毎遣切候分は詰戻し、且出水無之年柄も諸色
相改詰替置候積り、右小屋可取建地所最寄堤通り之
儀は在〻所〻諸人通路致候通筋故、住来之者猥成儀
不仕様以来取締方宜敷様致度段村中挙て奉願候ニ付、
隣村瓦曾根村瓦曾根溜井廻り之儀是迄重〻進退仕諸
事引請取計候儀ニ付、私共村願之通り小屋場建方被
仰付候ても差障無之哉之旨瓦曾根村御呼出御糺ニ御
座候処、是迄先〻仕来も有之右取計ニ相振レ不申候
得は差障等無御座、却て瓦曾根溜井防方之手操ニも
宜敷候段申上、双方熟談之上外故障之筋も無相整候
上は、右躰出水手当として諸色囲置度旨心付申立候
趣、寄持之取計ひニ被為御聞訳、格別之御沙汰を以
御評儀之上水防小屋場建方之儀は願之通被仰渡、勿
論右小屋場惣躰取締之ため御定杭之儀は左之通御打
渡被仰付候段被仰渡、是又残ル処も無之儀重畳難有
承知奉畏候
元荒川通 武州埼玉郡西方村
川〻定掛
水防諸色置場
右之通御定杭御打渡候上は、願之通取締も宜敷行届
儀ニ付、弥出水防方之儀出情相励ミ可申候、尤是迄
防方之儀仕来りも御座候処猶又此度瓦曾根村と以来
取計方議定取極メ熟談相整候趣を、右村と申合諸事
正路ニ取計ひ争論ヶ間敷儀無之様小前之もの共江も
得と申含メ候様仕候、且小屋場可建地面之儀ハ支配
御役所ゟ間数御打渡有之上ニて小屋相建候積り相心
得可申候、然ニおゐてハ以来右諸色之儀は、例年春
之内御普請役中最寄御詰合ゟ年〻御改可有之旨被仰
渡候
前書被仰渡之趣逸〻承知奉畏候、依之御請差上申所
如件
文化元子年 野口辰之助御代官所
十月廿八日 武州埼玉郡西方村
名主 平 内
年寄 山 治 郎
川〻定掛
御役所
前書西方村江被仰渡候御請書之趣一同罷出逐一承知
奉畏候
子十月廿八日 早川八郎左衛門御代官所
武州埼玉郡瓦曾根村
名主 中村彦左衛門
右ハ関東川〻定掛鈴木紋三郎様御役所ニおゐて左之
通り被仰渡候、勿論御糺方之儀ハ
松嶋条太夫様
堀谷吉兵衛様 御両人ニ御座候
御定杭之儀は、是以百姓方ニて早〻木拵致御掛り御
役所江差出候様被仰渡候ニ付、江戸表ニて木品大工
手間并御役所迄引込共金弐両ニて出来、但棚木長壱
丈弐尺七寸角致候積り、早速出来御掛り御役所江差
上置候処、十一月五日右御定杭四本村人足を以御用
のほりを立道中筋引取申候
右文言ニ
元荒川通 川〻定掛 向て右方
水防諸色置場 川々定掛 向て表之方
武州埼玉郡西方村 川々定掛 向て左之方
長壱丈弐尺幅七寸角 向て裏之方
文化元子十一月
小屋場之儀早〻取掛り、三間六間雨戸前ニ致し手伝
人足之外一式代金拾弐両ニて出来候ニ付、翌丑春諸
色詰置文化二丑八月一日初て諸色御改有之事
御普請御役早川雄之進様
同 高原清四郎様
同 浅井金八郎様
同 早川金太郎様
右御方〻様俵数縄桟俵共細〻御改相済申候、末〻心
得可知事
寛政三亥年瓦曾根落圦水防之節、遣方相成候灰代金
始末同年書物ニ委敷書留控置候通り、西方村百姓利
助方へ瓦曾根村ゟ代金請取置候分、此節諸色小屋願
ニ付瓦曾根村江返金相済故書付左之通
覚
一其許先代ゟ灰買取候砌之代金受取書、此度和融致候
ニ付返脚可致筈之処、当時見当り不申候間、追て見
当り次第返脚可仕候、尤反故ニて取用申間敷旨、八
右衛門殿平内殿一同立会之上取究申所相違無之候以
上
丑九月十日 中村彦左衛門印
弥右衛門殿
村方惣躰取締議定惣連印致置事
但本紙名主弥右衛門方ニ預り仕舞候事
入置申一札之事
一当村之儀は元荒川水除堤溜井附之村方ニて、急水満
水之水防手当村方一同相談之上明俵壱万俵、縄三千
房為冥加差出、溜井最寄江小屋相建囲堤急水満水之
節取出相防候ハゝ水難之患は多分有之間敷、尤小屋
相補理候儀は御上様江御入用ニ相願候共、又は御拝
借ニも御願可奉申上段、此度各方ゟ川〻定懸御役所
江右之逸〻御願被成候処、御吟味之上至極尤之願ニ
は候得共、御入用不及申御拝借之儀迚も難被仰付、
敦村方ニて小屋補理候様厚キ御利解被仰聞候旨、尚
又各方ゟ御申被聞承知仕候得共、一同困窮之時節柄
小屋相立候迄ハ行届兼候ニ付年柄相直り候迄は何分
ニも村役人衆中之御勘弁を以御手段被下候様挙て申
入候処、御承知之上右囲小屋此節は各〻方ニて御手
段御補理被下候筈、依之以来一色村方自普請之積り
を以御願被成候処、左之通り被仰渡御請証文奉差上
候写
此所御請書丸写ニ書入
前書之通被仰渡も有之上は、銘〻平内心附無油断大
切ニ相守以来修覆建替之節、御差図次第村方惣百姓
ニて引請聊も無差支取繕可申候、勿論村内御普請所
土橋并悪水圦有之候ニ付、右橋掛替圦伏替之節は古
木村方へ御払被仰付候ハゝ代永差出し囲置、右小屋
取繕之節差出し其外右相懸り候入用之儀は、定例夫
銭之通り無甲乙割合差出し可申筈、尤明俵縄等出方
之儀は、三分は軒別ニて差出し、七分は高割合ニて
差出可申候、勿論詰替又ハ減相立候年も右同様割合
差出し可申候、水防方之儀共是迄之通り村役人御差
図次第格別出情相防可申候、右之通り相極メ候上は
重て彼是之儀決て申間敷候、勿論水防諸色詰置場相
建為惣躰取締、御定杭被御打渡も有之上は大切ニ相
守り、火之用心ハ不及申右最寄往来旅人猥雑之儀有之
類、又ハ乞食非人等都て怪敷者共干不申候様銘々心
附可申候、依之為後証之小前一同連印一札入置申処
仍て如件
文化元年子十一月 埼玉郡西方村
百 姓
忠左衛門印 孫右衛門印 孫 市印
平 四 郎印 伊左衛門印 喜 兵 衛印
吉右衛門印 林右衛門印 次郎兵衛印
武 七印 常右衛門印 甚 蔵印
又 四 郎印 伝左衛門印 善 六印
新 蔵印 五 兵 衛印 治右衛門印
次郎右衛門印 治左衛門印 幸 八印
友 吉印 長 兵 衛印 源 内印
斧右衛門印 源 助印 七郎兵衛印
新左衛門印 新 助印 宇右衛門印
仁左衛門印 茂右衛門印 三郎兵衛印
喜 助印 利 七印 元 七印
伊右衛門印 孫 兵 衛印 助 七印
武左衛門印 七 三 郎印 五左衛門印
彦左衛門印 伊 助印 勘右衛門印
平右衛門印 金 七印 伝 兵 衛印
勘 助印 直 七印 清右衛門印
弥左衛門印 沢右衛門印 七郎兵衛印
七右衛門印 甚五兵衛印 長左衛門印
次郎左衛門印 六郎左衛門印 善左衛門印
幸左衛門印 伊左衛門印 治左衛門印
佐右衛門印 治郎右衛門印 七郎右衛門印
与四郎印 源 助印 庄 蔵印
政右衛門印 浅右衛門印 庄右衛門印
幸右衛門印 庄兵衛印 伝左衛門印
吉左衛門印 喜右衛門印 孫 市印
源左衛門印 市 松印 惣 八印
五郎左衛門印 次兵衛印 要 蔵印
惣 七印 市兵衛印 清左衛門印
勘 兵 衛印 吉右衛門印 勘 六印
与左衛門印 茂右衛門印 美 津印
五郎七印 す み印 茂左衛門印
九平治印 卯之助印 彦兵衛印
久左衛門印 勘兵衛印 六左衛門印
久右衛門後家
徳右衛門印 喜左衛門 は な印
清 吉印 伝右衛門印 市 平印
重 蔵印 長 五 郎印 忠右衛門印
山 治 郎印 は ま印 源右衛門印
弥右衛門印 半 治 郎印 新 内印
権左衛門印 兵左衛門印 与 吉印
与左衛門印 権 七印 庄 蔵印
五左衛門印 八左衛門印 佐五兵衛印
ま つ印 与 三 郎印 勝右衛門印
源 治 郎印 ふ さ印 与 兵 衛印
栄 吉印 源 七印 市 助印
清 吉印 半 六印 久 兵 衛印
嘉 助印 忠 蔵印 金 兵 衛印
源 六印 伝 兵 衛印 勝右衛門印
源 兵 衛印 利左衛門印 平 三 郎印
孫右衛門印 藤 蔵印 平右衛門印
弥五右衛門印 伝 八印 喜右衛門印
甚 兵 衛印 伊右衛門印 忠 蔵印
善 兵 衛印 兵左衛門印 弥 五 郎印
庄 兵 衛印 富右衛門印 利左衛門印
享和二戌年出水ニ付囲明俵外ニ候得共諸色人足遣方御
切手
右は天明六午年已来度〻出水有之、既ニ寛政三亥年
享和二戌年之儀は、格別満水ニて諸色村方遣切隣村
買上水防候儀ニて、御普請役様御見分之上御切手頂
戴有之、依之文化元子年囲明俵諸色置場小屋相願御
下知相済事
一明俵
内百五拾俵 人足四拾人 東 方 村
九拾五俵 人足弐拾人 見田方村
拾俵 人足弐人 南 百 村
百三拾俵 人足拾五人 柿 木 村
百俵 人足拾五人 千 疋 村
三百俵 人足拾五人 麦 塚 村
拾五俵 人足四人 四 条 村
五拾俵 人足六人 登 戸 村
百俵 人足七人 伊 原 村
弐千弐百五拾俵 人足三百廿六人 西 方 村
一縄四百五拾壱房 西 方 村
一杭木八拾本 西 方 村
内長五間杭弐拾本
長三間杭弐拾本
長弐間杭四拾本
右は当戌七月十九日ゟ打続風雨元荒川通大水、瓦曾
根溜井廻り用悪水圦前重築留并堤通越水之場所巻畔
上置水防諸色人足、村〻指出候分書面之通ニ候、前
〻葛西急破入用之儀は、来春組合永下割返し積り有
之間急度無差支様可被致候、為念請取遣申候以上
戌八月 水防懸り御普請下役
蓮 見 伴 七印
八条領西方村
文化三寅年渇水ニ付松杁前〆切囲明俵遣方御切手
覚
一明俵四百五俵 縄百三拾五房
右は当寅夏渇水ニ付、瓦曾根溜井内字松圦〆切仕立
入用差掛り候ニ付、元荒川通水防囲俵之内を以遣方
致候ニ付、右四ヶ領ニて割合詰戻置候積り書面之通
候以上
寅六月 御普請役
早 川 金 太 郎印
文化四卯谷古田用水圦急破ニ付囲明俵遣方御切手
右は六月七日谷古田用水圦上水穴出来、囲明俵五百
俵、弐間杭拾壱本、三間半杭壱本、縄百五拾房、同
三拾房古莚弐拾枚、唐竹壱束大唐竹五本、人足四拾
七人西方村ゟ差出し、勿論瓦曾根村ゟも村中人足罷
出両村ニて防留申候、依之其段御届置翌辰年六月明
俵縄遣方御切手頂戴致置候
覚
一明俵五百俵 縄百八拾房
右は去卯年六月出水之節、谷古田領五ヶ村圦樋急破
之節防方ニ遣払候ニ付、当辰年詰置候分見届候処相
違無之候以上
辰八月 御普請役
神 谷 貞 吉印
文政六未出水ニ付囲明俵遣方御切手
右は未六月中出水ニ付、八条圦瓦曾根落圦不動尊裏
堂圦其外堤通水防ニ付遣方ニ相成、其段御届ヶ御見
分之上御切手頂戴仕候
覚
一明俵四千七百俵
内百八拾壱俵 是ハ同村平内差出し候分
縄千四百六拾六房
右是は当未六月中元荒川通出水之節、書面之囲明俵
縄遣之相防候、尤右諸色一村限尚又詰置可申候
未七月 吟味方下役
大 熊 健 吉印
文政六未猶又出水之砌囲明俵遣方御切手
右は未八月中猶又出水ニ付、八条圦瓦曾根落圦堂圦
築留減底み其外堤通り水防ニ付、遣方ニ相成候分御
見分之上御切手頂戴仕候
覚
一明俵千六拾八俵 一縄四百房
右是は当未八月中猶亦元荒川通出水之節、書面囲明
俵縄遣之相防候、尤遣払之分見届候処相違無之候以
上
未八月 吟味方下役
大 熊 健 吉印
文政七申出水ニ付囲明俵遣方御切手
右は申七月下旬ゟ八条圦瓦曾根落堂圦其外所〻堤通
り水防ニ付、遣方ニ相成其段御届ヶ御見分之上御切
手頂戴仕候
覚
一明俵千四百八拾弐俵 縄六百房
右は当申八月元荒川通出水之節、書面之通囲明俵縄
遣立相防候、尤右諸色一村限猶又詰置可申候以上
申八月 御普請役
原 周作
西方村江