右は去〻文化六巳六月中、下洗竹流大破ニ付去午御
普請被仰付候処、猶又同年夏大破罷成候ニ付先洗竹
流ゟ凡拾間程上江当未春場所替御普請有之積り、領
中惣代御案内ニて御丁張相済、其上二月十五日当村
役人右場所江御呼出し之上、右御丁張場所ニ雑木弐
本小苗木四本差障りニ相成候間、是迄仕来之通其村
方ニて伐取候様被仰渡候、然ル処当村方役人申立候
は右雑木之儀は木数寸間御書上ニも相成居候間、御
支配御役所江御届ヶ伐取申度御掛り御普請役原幹三
郎様江申立候処、伐取候上ニて支配江相届可申万一
支配ニて察斗有之候ハゝ此方申付由相答可申段御利
解ニ御座候得共、達て御猶予相願候処、夫となく一
両日日延遣候由被仰聞候ニ付、早速御支配江相願候
書付左ニ
乍恐以書付奉願上候
武州埼玉郡西方村名主弥右衛門、年寄平三郎、百姓
代初三郎奉申上候、当村地敷御普請役様定御掛場八
条領外六ヶ領組合用悪水、字瓦曾根溜井引続水持堤
字松土手ニ先〻ゟ有之候竹洗流去〻巳六月中大破仕、
依之右場所保方不宜候御儀ニ有之、当未春御潰ニ罷
成場所御引替ニて囲土手元洗竹流ゟ凡拾間程上之方、
組合領中惣代之者御案内ニて御掛り御普請役様御丁
張被遊、則右竹洗流可仕立場所長五間程之地敷之内、
御並木雑木弐本小苗木四本有之差障り相成候間、当
村方ニて伐取候様御掛り様ゟ被仰付候得共、右御並
木之儀は木数寸間御書上も有之候ニ付、当御支配様
江御伺中御猶予相願今般御届奉申上候、勿論此節苗
代用水ニ差掛り候御普請之儀ニ付、御普請役様御附
添被為遊候間、何卒御慈悲を以早速御下知被成下置
候様偏ニ奉願上候以上
文化八未年閏二月十五日
武州埼玉郡
西方村
名主 弥右衛門
年寄 平 三 郎
百姓代 初 三 郎
吉岡治郎右衛門様
御役所
乍恐以書付奉申上候
御並木四ヶ所之内、松圦ゟ下流迄立木之内
一雑木 凡長壱間半程、目通弐尺六寸程
一同 同 同
一外ニ同木小苗木四本
合六本
右は此度御普請所差障りニ相成候ニ付、伐取被仰付
被下置度奉願上候以上
文化八未閏二月十七日 名主 弥右衛門
吉岡治郎右衛門様 年寄 平 三 郎
御役所
右支配様江願書差上申候処、近〻御糺御取調有之、
天明年中松木出入御裁許証文杯写差上、又間数木品
御改之節巨細申上候上ニて御普請役原乾三郎様江書
翰御認メ被遣、早速伐取可申旨其節被仰聞候
一御役所御利解被仰聞候ハ、御並木帳組入有之候木品
は支配見分之上御窺御下知相済候上ニて伐取可申付
筈ニ候得共、御裁許証文ニ御普請御用木ニ相成候ハ
ゝ両村役人立会是迄之通り無差支伐取可申由ニ有之
候得は、先ッ御普請御差支ニ不相成様早速伐取可申、
右木品御普請役方ゟ御勘定所江相窺当役所江御勘定
所ゟ御下知御沙汰有之候積りニ書翰相認メ差遣し可
申候間、左様ニ相心得候様被仰渡候
一其節御並木場所之内洗流御場所替ニ相成候てハ、是
迄御書上之間数ニ相違相成可申由申上候処、御役所
様ニて被仰渡候は少〻之儀ニ御座候得は並木間数之
内、洗流有之候と相覚居以来とも御尋之節は可申立、
只今右地所迄相改候ニハ彼是六ヶ敷入組候間、左様
ニ村方ニて相覚居可申と被仰聞候
一瓦曾根村御旅宿御普請御役原乾三郎様江右御役所ゟ
被遣候御書翰差上候処、御掛り様被仰聞候は、定掛
り場所之儀は此方共申付次第ニて早速右木品伐取候
上ニて、支配役所江其段相届ヶ可申処、彼是伺躰之
儀仕候故右之通書翰ニて申送り、甚御用差またき候
段御察斗ニ御座候得共、早〻木品伐取候様被仰付、
翌十八日瓦曾根村五郎右衛門場所案内立会雑木不残
伐取、不動尊裏江引取置候、猶又其旨以外ニ小苗木
弐本は欠崩所ニ相成候ニ付、是又御普請役様ゟ伐取
被仰付早速伐取申候
一御勘定所江御普請役様ゟ御伺被成御下知済御沙汰御
支配御役所江有之趣ニ付、御手代夏目幸太郎様御出
役御払直段御糺之上ニて左之通書上候
覚
字松土手御並木之内
一雑木弐本但長九尺目廻り弐尺六寸廻り
代永拾六文三分
外三文四分御吟味ニ付まし
同
一雑木小苗木六本
代永六文弐分 外壱文 同吟味ニ付まし
右は当村地敷御並木御用木、此度御払被仰付書面之
直段を以村請被仰付被下置度候様奉願上候、依之御
直段書差上申処如件
文化八未三月 西方村
名主 弥右衛門
年寄 平 三 郎
百姓代 善左衛門
吉岡治郎右衛門様
御役所
一其節被仰聞候ハ、先達て村方ゟ御支配相届ヶ候節は
雑木小苗木共都合六本ニ有之処、此節八本と御勘定
所ゟ御下知有之訳御糺ニ御座候、右は村方ゟ申立候
後伐取之時節ニ至り外弐本小苗木伐取被仰付候間、
此分御役所江御届延引ニ相成居候得共、都合八本伐
取候ニ相違無之段御答申上相済申候
一右一件相済候後風聞承知仕候は、川除堤之木品之儀
は、其場所定掛りニて一式引請御普請役様御越し被
成居候得は、諸向手切ニ御取計有之者之由、則当村
御並木之儀も天明年中出入御裁許時分は村方明細帳
書上のみニて、堤川除木品同様御取計ニも可有之哉、
然ル処当村並木之儀は文化三寅年山田茂左衛門様御
改之上木品間数巨細ニ御書留ニて、御役所より其筋
へ申立御並木帳御組込ニ相成居候得は、川除木品杯
とハ格別御取扱相違之由御役方ゟ承伝置候、已来村
方も右心得ニて末〻取計可申事
一右木品御窺之節、御普請役原乾三郎様遠見ニて凡ニ
見積り寸問書上、御勘定所へ御窺被成候処、村方ゟ
御役所江相届ヶ候木品寸間は見届相改候上ニて書上
候間、御勘定所ニおいて突合ニ相成候処、格別相違
致候旨ニて何れ之方実正ニ御座候哉、猶又御勘定中
村継治郎様御普請所御見分御通懸り、木品再見分有
之、乍併村方ゟ御役所江申立候方寸間相違無之候得
共、左候てハ懸り御役人方遠見凡見積り不行届儀ニ
相成候闇、猶又村方之不調法ニ致し左之通書面差出
呉候様御普請御役宮本治郎左衛門様ゟ御内意有之ニ
付、左ニ書付
乍恐以書付奉申上候
一瓦曾根溜井廻り字下流洗堰床替ニ付、西方村御並木
御差障り之分有之伐株之儀御窺御下知相済、当月七
日当御支配御役所ゟ御払御直段御吟味御座候趣申上
候処、右受書と先達て申上候目通りとハ相違仕り候
ニ付、如何之訳ニ候哉御尋ニ御座候処、右雑木之義
は、節曲木ニも有之格別ニ元末有之、事馴不申村役
人如何之場所と改メ其節申上候哉、今般御糺ニ付奉
恐入候、何分ニも不調法之段偏ニ御勘弁奉願上候、
以上
文化八未三月 吉岡治郎右衛門御支配所
武州埼玉郡西方村
名主 弥右衛門
同 吉 蔵
年寄 山 治 郎
御普請御掛り
御役人中様
右は宮本治郎左衛門様江差上候、右一件不残相
済申候