近年米直段下直ニ候処、諸色は直段高直ニ付諸人及
難儀候、酒酢醤油味噌之類米穀を以造出し候品は勿
論之儀、其余諸色共米穀を元として可売出道理ニ候
処、米直段は下直ニ候得共諸色之直段は追〻ニ引上
不埓之事ニ候、以後米穀之直段ニ準し可成丈諸色之
直段引下ヶ可申候、尤直段は引下ヶ候ても品柄を劣
らせ候てハ無詮事ニ候間、諸事正路ニ売買可致旨、
仕入元を始問屋仲買等夫〻商売方之者共江可申付候
上ニも、猶不引下ヶ候ハゝ其筋〻遂僉儀急度曲事可
申付候、此趣国〻所〻江相触候間、諸色仕入相直段
引下ヶ不申、或は買〆等致し候者有之候ハゝ、其手
寄之商買人共ゟ可訴出候、若打捨置候ハゝ是又可為
曲事候
七月
右之通御書付出候間得其意、廻状村下令請印早〻順
達従留村可相返候者也
卯七月十三日 吉治郎右衛門
覚
此間廻状を以相達候通近年米直段下直ニ候処、諸色
直段は高直ニ付米穀を元として可売出分、酒酢醤油
其外之諸色直段格別引下ヶ、何程之直段何程ニ引下
ヶ候ニ申儀早〻取調可申出、問屋仲買等は勿論、小
売等いたし候もの共迄不漏様相達正路ニ売出し毛頭
不束之儀無之様可致、此上御触之趣不用歟、何如様
之取計いたし候もの於有之ハ、直〻呼出し可遂吟味
候条可得其意候、勿論問屋仲買共他支配他領之もの
ニて元仕入直段引下ヶ不申、不届之取計いたし候も
の有之候ハゝ是又早〻申立、後難無之様可取計もの
也
卯七月十九日 吉次郎右衛門
猶又本文之渡世いたし候もの内〻押包罷有、直段引
下ヶ等不申出、外ゟ相知レ候上は、村役人親類組合
之もの迄急度可申付条、聊心得違無之不漏様軒別ニ
取調正路ニ勘定いたし、早〻直段引下ヶ之儀可申立、
且百姓計にて諸色商い不致村方は其村〻申合惣代を
以其段可申出候以上
西方村
外拾三ヶ村〻
乍恐以書付奉申上候
此度米直段下直ニ付諸色直段引下ヶ之儀被仰付奉畏、
左ニ中直段を以引下ヶ奉申上候
元直段壱升ニ付弐百五十文
一中酒壱升ニ付 弐百弐拾四文
元直段壱升ニ付八拾文
一中酢壱升ニ付 銭七拾弐文
元直段壱升ニ付百廿四文
一中醤油壱升ニ付 銭百拾弐文
元直段三百六拾四文
一水油壱升ニ付 銭三百三拾弐文
元直段壱升ニ付廿四文
一塩壱升ニ付 銭弐拾弐文
元直段壱丁ニ付弐拾八文
一豆腐壱丁ニ付 銭弐拾六文
元直段壱帖ニ付弐拾六文
一半紙壱状ニ付 銭弐拾四文
元直段壱足ニ付廿四文
一草履壱足ニ付 銭弐拾弐文
元直段壱足ニ付拾六文
一わらし壱足ニ付 銭拾四文
此外諸色右ニ准し直段引下ヶ可申候
右之通り直段下ヶ奉申上候処相違無御座候已上
埼玉郡
増林村 増森村 大吉村 川崎村 大杉村
舟渡村 大泊村 備後村 平方村 西方村
〆拾ヶ村商人名前連印
右は今般米直段下直ニ付諸色直段引下ヶ之儀被仰
付候ニ付、前書之通商人共江申聞直段引下ヶ奉申
上候、尤此外諸色之義は近村并隣宿ニて相調申候、
勿論酒造人并酢醤油造出候もの壱人も無之候間、
右品江戸ニて仕入候儀ニ御座候処、相違無御座候
以上
文政二卯年八月 埼玉郡
右拾ヶ村
名主 連 印
年寄 連 印
百姓代 連 印
西方村
名主 吉 蔵1
組頭 七郎兵衛
百姓代 幸 吉
吉岡次郎右衛門様
御役所
覚 西方村ニて書出候商人名前
一小売醤油紙そふり 孫 助
一小売酒そうりわらし 源 七
一小売水油 又 四 郎
一小売塩わらんし 新 蔵
一小売酒 友 吉
一菓子 五 兵 衛
一菓子 元 七
一小売酒とふふ 惣 七
一小売酒酢醤油紙 久 兵 衛
一小売酒そふり 源 兵 衛
一小売酒 甚 八
一小売酒 磯 八
一菓子 金 蔵
一菓子 善 太 郎
一材木 勝右衛門
一菓子 幸右衛門
一豆腐 五 郎 -七
一菓子 佐右衛門
右之通り相違無御座候以上
右之通諸色直段引下ヶ被仰出候ニ付、江戸町〻御
書出辻〻江出候ニ付一統諸色引下ヶ、壱膳飯、そ
は、うとん二七ニ売出し江戸宿飯料代壱匁八分、
其外向〻引下ヶ、在〻ニも右ニ准し諸職人作料日
雇賃等迄、村〻取極議定等仕候事共ニ御座候
一東西葛西領ゟ八条領二郷半領淵江領谷古田領辺江
相談およひ候ハ、江戸向下肥直段引下ヶ相願度候
ニ付願書加印致呉候様、尤願之通被仰付候上は川
〻其筋江会所建置候て急度取締宜敷、百姓方勝手
ニ相成候様可仕旨申越し候得共、八条領は村〻一
統不仕、万一諸入用等相懸り候共村方小前ニ不同
有之由、右等之処不行届相断置候
一東西葛西ゟ江戸表相手取、下肥直段引下ヶ致度旨
願出、夫〻御吟味奉請候処、来三月迄右直段引下
ヶ可遣旨御奉行所ニおゐて被仰付候由、其節もつ
ぱら風聞ニ御座候得は永末之儀ニ不相成事ニて、
葛西辺ゟ立肥ニ取極メ致置候者共ハ却て年来取引
致居候処得意之気請悪敷相成、辰三月後ゟ直段高
直二在〻ゟせり合、猶又其後は近在之不勝手難儀
ニ相成由承り伝候、然ルは諸事右等之処深く考弁
可有之事ニ覚候