○ 元録五申年
(朱書)
「御鷹場ニて御黒印所持御餌差成共、殺生人之類
誰人ニても為致間敷請書」
指上ケ申一札之事
一近年御鷹場中ニおゐて御法度之鳥殺仕候者数多有之
由、依之此度村〻江各御廻し被仰付候趣承知仕奉畏
候、先年被仰付之通自今弥以無油断吟味仕、御法度
之鳥殺生仕候族有之候ハゝ村中出合とらへ、早速可
申上候
一先年被仰付候通たとへ御組御餌差たりといふ共、御
黒印相改宿可申付候、御黒印所持仕候御餌差之内へ
壱人成共御黒印無之籠持なとと申もの有之候共、其
者ニ堅宿借申間敷候
一惣て殺生仕候者名主江も断なく、百姓あいたいニて
引入、村〻殺生いたさせ候者有之由相聞へ申ニ付、
向後左様之者有之百姓あいたいニて宿仕候ハゝ、其
者ハ不及申上ニ名主年寄迄如何様ニも可被仰付候、
村〻何も御廻し被仰渡候上、たとへ田畑之内御法度
之殺生道具有之候を御見合候ハゝ、其田畠之主ハ不
及申名主年寄迄何分ニも可被仰付候
附御黒印有之御餌差宿仕候とも殺生道具相改、少
もまきらハしき儀有之候ハゝ其所ニ留置早速可申
上候、尤宿仕候内日暮候て殺生場へ遣之申間敷候、
むたいニ出可申と申者有之候ハゝ其者名承届ケ是
又可申上候、宿いたし候節も一村ニ五日外留置申
間敷候
一村〻百姓之内ニ御餌差第子ニ罷成殺生いたさせ申間
敷候、若左様之者有之隠置後日相聞へ申候ハゝ何分
ニも可被仰付候、惣て野辺あやしき殺生人見来候ハ
ゝ御鷹番屋ニ申付置村送り可仕候
附先年被仰付候通、御鷹場之内ニて鳥売買堅いた
させ申間敷候、若密〻鳥売買仕候者有之候ハゝ其
村〻名主年寄迄越度可被仰付候、惣て近年御鷹場
中御餌差ニまきれ、にせ餌差有之候由被及御聞候
ニ付、自今念入相改可申旨奉畏候、万一にせ餌差
之宿仕候か、御法度之鳥取り申候を見のかしニ仕
候ハゝ如何様ニも可被仰付候、為後日仍て如件
元録五申三月 何村名主 誰印
黒 川 長 兵 衛殿
小出三郎右衛門殿
荒井五郎左衛門殿
杉 浦 与 一 兵 衛殿