○ 享保元申年
(朱書)
「道中ニてこまのはい、くも助之類常〻心付往来
難儀無之様、宿〻江急度被仰付候御触」
道中筋においてこまのはい、くもすけなと申すもの
有之、往来のかろきものゝために難義之由風聞候処
ニ、此度中嶋村において切殺され候者を彼類の者の
由に候、惣して此等之類宿〻の者共見しらさる事に
も有へからす候へとも、其余党のために恨を報セら
れ候も有所を軽く候故に、其通に仕さし置候事ニ相
見え候、自今以後此等之者のために難儀申候もの相
聞え候ハゝ、其所前後の宿〻急度其沙汰に行はるへ
き事に候間、宿〻の役人共常〻に油断なく心をつけ
候て、見合次第ニからめ出し往来の難儀無之様ニ可
仕旨可被申付候以上
正徳六年申四月
右は此度東海道藤沢宿、平塚宿之間於中嶋村盗賊躰
之者を旅人切殺候ニ付如此被仰出候間、宿〻ハ不及
申間之村〻江迄も右御書付趣急度相守、若疑敷者於
徘徊者召搦様子承届ケ候上早速可訴出之、見遁しニ
仕後日相知候ハゝ可為曲事者也
申四月 伊 勢
石 見
正徳六申年改元