○ 享保十五戌年
(朱書)
「疱瘡痲疹ニ用江候薬法、御役所ニおゐて被仰聞
候事」
フンほうそうはしか
牛糞疱瘡痲疹にもちゆ
右何れの牛にてもふんを黒やきにし粉にして用ゆへ
し、兼て拵置にハ蓬を食セそのふんを取、ほしこに
して用るなり、白き牛黒キ牛あか牛なおよし
一疱瘡はしか出かねるに用ゆ、重き病躰ニハ度〻用ゆ
へし、惣てほうそうはしかにてなやむに用て吉
一ほうさうはしかの後腹中下り、又ハねつさめかね気
色重ク痰咳やミかねる抔ニ用てよし
一ほうそうはしかの流行時前方ニ用てよし
一ほうそうはしかの詰毒、又ハかき破りたるにくろや
きにして付れはよし
右用様ハ五六分程ツゝさゆニてかきたて用ゆ、或ハ
口ニさわり呑かたき時ハ布切レにつゝみ、あたゝめ
たる酒ニて用てよし
右書物ハ、領〻触次御役所江被召呼書面之通写し村
〻江相知らセ候様ニと被仰渡候間、村〻ニて御写置
可被成候以上
十二月廿一日 蒲生村
触次 源 右 衛 門