藤 明和元申年
(朱書)
「朝鮮人帰国之節国役御触」
当申年朝鮮人来朝幷帰国之節人馬割諸入用其御賄方
入用とも、先格之通山城・大和・河内・和泉・摂
津・近江・丹波・播摩・美濃・尾張・三河・遠江・
駿河・伊豆・相模・武蔵国御料私領国役懸りニ候間
此度割合候、尤禁裏御料御門跡料、公家衆家領、御
朱印寺社領、東海道宿場幷助郷御伝馬役勤候村高、
朝鮮人御用ニ付渡場舟橋役御賄御用として人足等差
出候村方、其外前〻ゟ訳ケ有之高掛り諸役免除高等
之分除之、其余は拝領高込新田改出等都て其村〻ニ
有之、百石ニ付金三両壱分永百弐拾五文宛其所ニ通
用次第金ニて成共、銀ニて成共尤銀ハ六拾三匁替之
積り村〻ゟ取立之、来ル十二月を限大和丹波は京三
井三之助、山城近江は同所三郎九郎、摂津河内和泉
播摩は大坂平野屋五兵衛、鴻池屋善右衛門方へ相納、
美濃ゟ武蔵迄八ヶ国之分ハ於江戸御代官吉田久左衛
門、山本平八郎両人之内へ可被相納候事
一右高懸金納済候上別紙案文之通書付、弁納済候節之
請取手形共御勘定所江可被差出候事
一朝鮮人諸御用勤候村〻内御賄方江鶴差出候一役、村
方御扶持方被下人足勤候村方、玉薬被下諸役勤候村
方、右村高等之分半高懸百石ニ付金壱両弐分永百八
拾八文宛之積りたるへき候、其余少分之役勤候分ハ
除高幷半高懸之内ヘハ不入候間、一統割合之通取立
上納可有之候事
申ノ十月
右之通当申年朝鮮人来朝幷帰国之節、人馬割諸入用
其外御賄方御入用共、先格之通国懸御書付を以被仰
渡候間、其村〻百姓共申渡高百石ニ付三両壱分永百
廿五文宛之積り取立之、来月中別紙案文之通り相認
差添我等役所江持参可相納候、若上納延引之村方ハ
急度遂吟味候条可得其意、此廻状村下ニ名主令請印
不限昼夜無滞早〻相廻し、留り村ゟ釆月十日迄ニ我
等役所江可相返者也
申ノ十月十三日 野弥市右衛門印