○ 明和八卯年
(朱書)
「川除樋類御普請之儀ニ付品〻被仰渡書」
申渡
一都て樋類川除用水御普請之儀、樋類用水路御普請は
十月限、川除は十一月限目論見帳可差出候、尤定之
日限ニ不差出月後れニ成候分は其年之御普請ニは決
て不相成候間其旨相心得、村役人共江も其段可申聞
置旨被仰渡候間、其趣相心得各目論見之分は、以来
七八月中迄ニ願出候様可相心得候、無左候ては伺後
れニ相成候間、其旨相心得可申侯事
一川除之内変地いたし、御普請ニ不及ヶ所も可有之所、
最初見分之節目論見候儘ニて差置候村方も有之由、
右変地いたし御普請ニ不及村方は其段早速注進いた
し候様、村〻江可申渡旨被仰渡候間、其旨相心得可
申候事
一樋橋川除其外御普請所共、小破之分は村方ニて成丈
取繕置、実〻自力ニ難及ヶ所ニハ御普請可相願所、
村繕ひニ致置候場所ハ稀ニ有之趣相聞候、以来は村
繕等も不相見願候村方ハ御普請所ニ候共、自普請ニ
可為致旨、村役人共江急度可申渡旨被仰渡候問、其
旨相心得可成丈村方ニて取繕ひ置、実〻及大破自力
ニ難叶場所は相願候様可仕旨、被仰渡候事
一樋類之儀、短木内置向柱笠木戸棹等、其外笠木短木
男柱等以来最寄御林木を以丸木面付ニ相目論見可申
候、尤当支配所内御林無之候ハゝ外御代官所御預所
之内ニても御林相糺、右之通御林木を以可相目論見
旨被仰渡候間、見分目論見之節居村幷近郷外村〻御
林有無可申上旨被仰渡候事
一御普請仕立之儀相違も有之候ハゝ、御入用不被下自
普請ニ被仰付候間、其段村役人江可申渡置旨被仰渡
候間、其旨相心得可申旨被仰渡候事
一御林伐渡、或は立枯等有之候ハゝ、跡地江苗木植付
勿論、何程植付候て申儀書付可差出旨被仰渡候間、
植向之儀先達て被仰渡候通相心得、右跡地苗木植付
根付候員数、可申出旨被仰渡候事
一惣て堤川除用水井堰樋類橋〻御普請所守方、何れ之
御普請所も百姓小前自分之家作同様実事ニ相心得、
大破不致様常〻心を附手入修覆いたし、水下組合限
亦は組合無之所ハ一村限ニも取繕ひ、時〻心附候ハ
ゝ自然と破損少ク可有之所其儀を心得違、御普請所
は公儀ゟ御普請可被仰付場所計存取繕も不及、一旦
御普請被仰付候得は追て御普請被仰付候迄其儘差置、
亦は村役人大勢之内ニは心得違、御入用御普請は村
方稼助成之具合と存、左程之場所ニも無之と色〻相
願候村方も粗有之趣ニ候、向後御普請所自普請所と
も是迄之通ニてハ行届間敷ニ付、道中筋掃除場同様
相極、組合御普請所は組合村〻ニて割合、一村限御
普請所も是亦右同様ニいたし、高割合ニても家別割
ニても村法相定場所、善悪相当ニ分ケ持口間数定杭
ニ記建置候て、折〻右場所見廻り大破不致様取繕ひ
手当致置、尚又夏秋出水之砌は組合御普請所ハ地元
村ニて樋類共其場所〳〵ニ随ひ、村役人心を附諸色
人足之手配いたし置、いつれニも破損無之様取計、
(ママ)
尤得と寄復いたし相守候様可申渡旨被仰渡候間得其
意、右之趣急度相守、被仰渡之通取計可申旨被仰渡
候事
但出水之節は、川表は勿論堤囲内は近辺田畑聊之
破損所出来いたし候ても、防方入用第一候、右土
取場ニ差支手廻成兼大破ニおよひ候儀間〻有之旨
ニ候間、以来は冬春百姓共農業手透之時分、亦は
渇水等之節、前条村限持分之丁場箇所〻江右土持
溜置、急水防之手当平日心懸候様取計可申旨被仰
渡候間、其旨相心得可申旨被仰渡候事
右之通此度一統御書付を以被仰渡候間其旨相心得、
被仰渡書写取、小前之もの共江も右之趣為申聞、以
来忘却不仕様急度相守可申旨被仰渡承知奉畏候、依
之一同御請印形差上申候以上
寅十二月