天明五巳年

油絞無株ニて稼いたし候者無有可書上御廻状

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  山 天明五巳年

   (朱書)

  「油絞無株ニて稼いたし候者無有可書上御廻状」

 油絞り之儀は手作之絞草ニて絞立私ニ遣候ハ格別、

 他之絞草買入油絞候儀は不相成、一村之内たりとも

 他之絞草買請絞油稼致間敷旨前〻ゟ度〻御触も有之、

 其上無株之油稼ハ不相成猥油稼致候ハゝ当人は勿論、

 所之もの迄曲事ニ可被仰付旨、猶又安永五申年十二

 月諸国一統御触も有之候処今以油絞不相止、江戸表

 ハ勿論在〻ニて絞草買入専油売買いたし、又は賃絞

 取替抔と名附稼致候趣相聞不埓ニ付、今般油絞一件

 奉行所ニて御吟味有之、在〻油稼致候者差紙ヲ以御

 呼出有之処、右差紙之名前ニ洩候もの共之内是迄油

 稼いたし候段全心得違恐入、此上御差留有之候ては

 稼ニ雑れ難儀ニ付、相応之冥加永上納油稼仕度段自

 訴いたし候もの共も有之、右躰申立方寄持之由御沙

 汰有之候、右ニ付先達て手絞油稼いたし候もの之名

 前書上ニ洩候者も有之は相糺、早〻名前可書出候、

 此節於申出ハ自訴之者ニ准シ永〻稼致相続難有可存

 事ニ候、若又隠置以来相聞候ハゝ急度可被仰付条得

 其意、村〻明細相糺油絞いたし候もの有無共ニ書付

 早〻可差出候、此廻状村下致印形無遅滞順達留村ゟ

 可相返候以上

  巳五月   布施弥市郎役所

               村 〻