藤 天明八申年
(朱書)
「米穀〆売、酒隠造厳敷御停止幷徒党狼藉之者切
捨可致御触」
近年米穀〆売幷酒隠造増造等之不埓有之候得は、お
のつから米直段ニ相響及難義候ニ付、下〻之者右躰
之もの江逆恨相含多勢相集穀屋酒屋其外之家居等ニ
狼藉致候類有之候ニ付、追〻御吟味被仰付事ニ候、
都て米穀〆売幷酒隠造増造之儀は制禁ニ候上は右を
犯し候者ハ御仕置被仰付事ニ有之間、右躰之義いた
し候者有之おいて、ハ御代官役所其外領主地頭役所
江訴出候得は、下〻不及難儀候様遂吟味可遣儀ニ候
処、其段不相弁申合相集り狼藉躰之儀於有之は、徒
党之儀ニ付甚以不届之至ニ候間、是亦厳科ニ可被仰
付候、右之趣下〻江得と申聞置心得違無之様可致事
一〆売幷酒隠造増造等致候者ハ厳敷可致吟味候、況訴
出上は猶以厚相糺難義無之様可致候、万一下〻心得
違ニて相集り狼藉之始末有之は早〻人数差出、小勢
之内召捕可申候、時宜ニ寄切捨候ても不苦候、尤御
料所幷小給所等陣屋元人数少之分ハ明和六丑年相触
候通、最寄大名江人数差出之義可申遣候、勿論右人
数之義申来候ハゝ不移時刻取鎮メ之人数差出、小勢
之内召捕可申候、若手ニ余候ハゝ切捨ニ可致候、是
迄右躰之儀有之候ても隠便之儀のみを存、彼是遅滞
致し相集り候者多勢ニ相成都て下〻及難義候、小勢
之内召捕又ハ切捨等ニいたし早速取鎮メ候者は働之
次第ニ依て御賞美も可有之候、此後手抜等ニて徒党
大勢ニ相成候ハゝ取扱不行届、其所支配御代官領主
地頭不念之筋可被及御沙汰候、右之通可被相触候、
万石以下も右ニ准シ取計可申旨可被達候
正月
右之趣相触候間可被得其意候
右之通御触有之候間可得其意候、廻状早〻順達留村
ゟ可相返者也
申正月 布施弥一郎役所
武州埼玉郡
七ヶ村右村〻
名 主
組 頭