天明八申年

御拳場御鷹野之御趣意、末〻之者共江心得方之御触

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  藤 天明八申年

   (朱書)

  「御拳場御鷹野之御趣意、末〻之者共江心得方之

   御触」

  廻状 野口辰之助役所  武州埼玉郡大林村始メ

 御拳場等之儀ニ付、下〻之迷惑無之様ニ今度御世話

 も被仰出一躰之儀、前〻ゟハ御手重ニ相成候哉ニ付

 おのつから下〻迷惑ニ及候事之由兼て承及候、扨御

 鷹野ニ被為成候は畢竟農業艱難等之儀しろしめし候

 ため、かつは御身労せられ候御保養之一ツ、又品ニ

 より下〻之働等御覧有之候抔と之事ニて、可被為捉

 為之御鷹野ニは無之候、然処民家衰人数相減候得は、

 自然と鳥も驚くましく住よく可有之候得共、其儀は

 乍恐御心いたませられ候御事ニて候得は、下〻迷惑

 致候て鳥数多く御手ニ入候義ハ甚背御趣意候事ニて

 候、且又内溝江御渡り板等其外御通も田畑其儘の様

 子御覧被為成候儀は御趣意ニて、掃除奇麗ニ候ハ常

 之御事ニて御鷹野之御趣意ニて相背候間、不丈夫等

 之儀は如何ニ候得共、むさき分ハ不苦との御旨ニ候、

 一躰近年作方も不宜人〻疲労いたし候節、追〻御せ

 話之御趣意砌りニ候所、御鷹野之下ニてうかゞひ違

 候ては以之外成儀ニ候、人民繁く戸口多く相成候ニ

 付鳥等つきかね候儀は、御物数多く御手ニ入候より

 ハ遙に御機嫌之御事ニて候、此趣意を夫〻心をくは

 り可被申候、御鷹ニ懸り候物在方等江出無益之費用

 をかけ、如何しき事候ハゝ承り次第早〻可被申聞候、

 尤御鷹場農事ニ出候儀見合等之事も追〻前〻之御例

 も有之、殊ニ御趣意も有之候間其年ゟ申達所有之事

 ニ候、先ツ御趣意之趣申聞置候

 右は御拳場江被仰渡候御書付候へ共、御捉飼場村〻

 右御書付ニ随ひ候儀ニて候間、村〻ニて右書付写置

 以来心得違無之様可相心得候、廻状早〻相廻し留り

 村ゟ可相返候以上

  申十二月  野口辰之助役所

               村 〻