●寛政二戌年
(朱書)
「御薬園ニおゐて薬種類御植殖可有之御触」
唐蛮薬種類前〻ゟ於御薬園ニ植付被仰付候儀は全く
追て手広ニ植殖し、下〻御救ニ可相成ためニ候、右
薬種類土地ニより少〻之功能優劣は有之候得共、格
別ニ相劣可申儀ニも無之候之処、払底成物をのミ貴
ひ候ならハしにて、人〻渡薬之名ニ泥ミ真偽紛しく
功能不正之品を不弁、亦は年を経候て気味薄き類を
も相用候ハ薬種之糺方暗きより心得たかひ候事ニ候、
既外国通商無之以前は夫〻随ひ候て療治も出来候事
ニ候、依之猶又唐蛮薬種追〻所〻江植殖し被仰付候
間、土地ニ応し候類も次第ニ出来可申儀ニ付、別紙
之通相触候間心得違致間敷候、且又唐蛮薬種之内久
〻不渡来分は格別ニ直段引上ケ候間、一統難儀ニも
およひ和産之由ニ候得は功能之善否ニもよらす多く
は取用ひ不申様致しなし候間、おのすから難引合植
殖し候ものも少く候、依之追〻植殖し唐蛮薬種専試
候て相用ひ候様可致候、尤薬種問屋之もの共へも其
向〻ニて右之趣申聞候様可致候
右之通御料は御代官、私領は領主地頭ゟ不洩様可被
相触候
八月
右之趣可被相触候